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米写真配信大手、シニア姿のコレクションを強化する理由

米写真配信大手、シニア姿のコレクションを強化する理由

「テクノロジーが苦手」というイメージを持たれることが多いシニア。「スマホで自撮りする姿」で、多様なシニアを表現している

米写真配信大手のゲッティイメージズ(シアトル市)は、広告代理店や企業向けに、シニアの多様な姿を撮った写真コレクションを立ち上げると同時に、その提供サービスを強化している。高齢者人口の増加する日本では、「アクティブシニア」向けビジネスの市場拡大に対応したサービス展開を図る。

ゲッティイメージズは、2019年9月に米国の高齢者団体である全米退職者協会(AARP)と共同で、50歳以上のシニアの写真を提供するプロジェクト「ディスラプト・エイジング・コレクション」を立ち上げた。野球をしている姿や、スマートフォンで自撮りする姿などシニアが仕事や趣味に取り組む様子を、写真コレクションとしてまとめている。写真数は今のところ約3300点。今後さらに増やしていく方針だ。

同プロジェクトの背景にあるのは、シニア向け市場の拡大への対応。例えば日本では、25年に65歳以上のシニアの消費市場が100兆円規模になると言われている。同社は、同市場拡大に伴い、シニアを起用した企業広告数が増えると見ている。

シニアのさまざまな姿を収めた写真を提供することで、企業広告に登場する、従来のシニアのイメージを一新するという狙いもある。ゲッティイメージズジャパン(東京都渋谷区)の島本久美子社長は、アクティブシニアが増加する一方で「ほとんどの広告で、シニアが“おじいちゃん”“おばあちゃん”としてしか表現されていない」と指摘。健康食品や介護用品などシニアをターゲットにした商品だけでなく「ビールや車などのあらゆる商品・サービスの広告にシニアが登場するべき」と主張する。

ゲッティイメージズは、シニアのほか、女性や障がい者などをテーマに、多種多様な人々の姿を表現した写真の提供を進めている。島本社長は「メディアは価値観の形成において大きな影響を及ぼしている。現実を反映した写真を配信していきたい」という。

日刊工業新聞2020年2月6日

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