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IT企業にとっての財産は従業員、デジタルでスキルを見える化しどう育成するか

日立システムズ、社員一人ひとりが活躍できる職場環境の整備に注力

日立システムズは、社員一人ひとりが活躍できる職場環境の整備に力を入れている。社員自らが手を挙げ、希望の業務やプロジェクトに参画する機会の拡大や、個々の社員が持つ知識・スキルを全社で可視化(見える化)する取り組みを始めた。全業種で現場業務に根差したデジタライゼーション(デジタル適用)が加速する中、ITスキルだけでなくお客さまの現場を理解し、業務知識を持つ人財が必要になる。社内のリソース(経営資源)を最大限活用することで、事業の成長と社員の自己実現につなげている。

■「スキルやキャリアを見える化することで高めていける」

生産設備を持たないIT企業にとって、人財が最も重要な経営資源だ。日立システムズでも人財の採用・育成に力を入れている。採用面ではこれまでは新卒採用が中心だったが、2019年度から業務知識や高度ITスキルを持つ人財のキャリア採用にも力を入れている。

「社員が自らの人財価値を再認識し、スキルやキャリアを高めていける環境を整えている」と話すのは人財戦略部の渥美貴彦部長代理。日立システムズではITスキル標準(ITSS)ならびにデータサイエンスやセキュリティ、IoT領域などの新ITSS(ITSS+)に準拠したスキル診断システムを構築し、市場価値の高いプロフェッショナル人財の育成に取り組んでいる。

職種別教育体系図

2020年からは、日立グループ・グローバル人財マネジメント統合プラットフォーム「HiNext」を導入。「グループ・グローバルでの人財情報の可視化」を実現し、「組織力・チーム力の最大発揮」「一人称意識の醸成」を図り、中長期的視点で組織の活性度向上や事業の成長につなげていく。加えて、日立システムズ独自の取り組みとして、顧客業務知識(ドメインナレッジ)を持つ社内人財を可視化する、社内向けBI(ビジネスインテリジェンス)ツール「人財マップ」の活用を始める。約1万人の日立システムズ社員が保有する知識・スキルなどを見える化することで、人財の有効活用や組織・プロジェクトの体制作り、人財育成計画などに役立てる。

渥美部長代理は「現場のデジタライゼーションを推進していくうえで、事業部間の垣根を超えた全社的な連携のスピードを加速させる必要がある。この人財マップを活用すれば、その時々に必要な知識・スキルを持つ人財を瞬時に見つけ出すことができる。社員としても、これまで活用機会がなかった知識・スキルを生かすきっかけにつながる」と期待する。

■現場実習と育成型出向

日立システムズでは、個人の知識・スキルを生かす機会だけでなく、実務に即したさらなるスキル習得ができる環境の構築も強化している。それが現場実習と育成型出向だ。現場実習は、他部署に数カ月間の期間限定で異動し、身につけたいスキルを異動先の職場の案件を通じて習得できるもの。例えば将来的に、部署としてデータサイエンティストを必要とするが、現時点では自部署に案件がない場合がある。そうした場合は、現場実習を活用し、案件のある他部署に異動。実務を通じてデータサイエンティストの知見を吸収できる。異動は期間が短い時で1カ月、長い場合は6カ月にも及ぶ。上長からの提案だけでなく自ら挑戦する機会も与えられている。

一方、育成型出向は日立製作所を含む日立グループに出向できる取り組み。年間5人程度の実績があり、実戦を通じたスキル向上の機会となっている。

このほか、勉強会や専門コミュニティーなど有志が集まり、情報交換や知見の共有、後進の育成などの活動も繰り広げられている。コミュニティーによっては参加の条件として日立グループで決められた資格などが必要なものも存在する。人財教育企画部の佐川差千代担当部長は「自らが進んで学ぶ環境を整えている他に、知識・スキルを共有できるコミュニティーもある。自分の知識・スキルを伸ばし、発信する環境が整っている」と明かす。

人種や性別、年齢、障害の有無に差別されない「ダイバーシティ」の考え方はもちろんのこと、日立システムズでは多様な人財を活用し、新たな価値を創造することで企業の競争力強化を図る。顧客の現場で課題を捉え、解決できる人財の育成を進めている。

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