豪雪地の雪、厄介者を武器にしたデータセンターの価値ストーリー

地域の弱点だった雪を空調に利用するデータドックのデータセンター(新潟県長岡市)

豪雪地での雪は、生活者にとって厄介者だ。その雪をデータドック(新潟県長岡市)が武器に変えた。同社は2018年1月、雪を空調に使うデータセンター(DC)を開所した。 DCは大量の電力を必要とする。サーバーなど電子機器がもっとも電力を使用するが、全体の消費量にすると5割強。サーバーが発する熱で高温となった室内を冷やす空調にも4割を使っている。デジタル化の進展でDCは建設ラッシュにあり、消費電力の増大が環境負荷となっている。 その課題に解決策を提示したのがデータドックだ。冬、DCの敷地に幅30メートル、高さ4メートル級の雪山をつくり、木のチップを敷いてシートをかぶせて保管する。雪は処理に困っている事業者から集める。夏になると雪山で冷やした不凍液をDCへ送り、サーバー室を冷却して空調の電力消費を減らす。9月末に雪山は溶けて消滅するが、秋は涼しい外気を採り入れて空調負荷を下げる。一般的なDCに比べ運転コストを4割削減できるという。 データドックの宇佐美浩一社長は「雪国の長岡ならではの強みを発揮できる」と胸を張る。同社のDCは、企業などからデータを預かって運営している。環境配慮を気にする取引先企業が増えており、同社のDCが選ばれやすくなった。 もともとは14年、親会社のメディックス(東京都千代田区)で「DCに価値をつくろう」と構想が浮上したことがデータドック設立の原点だ。当時は「ESG(環境・社会・企業統治)やSDGs(持続可能な開発目標)もなかった」(宇佐美社長)という。いまはDCと雪国の双方の課題解決が「価値ストーリーとしてお客さまに共感されるようになった」(同)と追い風を実感する。 DCは、サーバー室の廃熱を使った植物工場と養殖場も併設する。魚の排せつ物を水中のバクテリアで肥料に変え、水耕栽培の植物に与える「アクアポニックス農法」を採用した。植物工場ではレタスを、養殖場ではチョウザメを育てる。雪、野菜、魚、DCという珍しい取り合わせだ。 「新潟の産業活性化のストーリーにもなる」(同)と期待を膨らませる。風況などの条件がそろう日本海側には洋上風力発電の建設計画が多い。風力発電でつくった電気をDCが消費すれば、DCの環境負荷を抑えられる。地域資源である雪と風力の活用でDC誘致が促進されると、地域経済の新陳代謝と環境問題を解決する好循環が生まれる。

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