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「羽田-秋葉原」を新しい観光運河クルーズに!

国交省が社会実験。水辺からの東京の眺めを訴求へ
「羽田-秋葉原」を新しい観光運河クルーズに!

見所となる万世橋船着き場に接岸する運河船

 国土交通省は19日から26日まで羽田空港と秋葉原の万世橋を船で結ぶ社会実験を実施する。羽田から都心部への船による移動の可能性を探る。同省の東京国道事務所万世橋出張所の職員らが、万世橋周辺の道路活用策として検討を始め、5月から地元の千代田区などとプロジェクト準備会の会合を開き、運航コースなどを決めた。国交省では、主に観光利用を想定しており、雨や風をしのぐ方法や料金など、定期化実現への課題を実験結果から検討する。

 コースは羽田空港国際線ターミナルそばの多摩川沿いにある羽田空港船着場と品川区の天王洲、秋葉原の万世橋を結ぶ。空港の国際線ターミナルと船着場の間は、無料送迎バスを運行する。京浜運河や隅田川、神田川などを経由し、羽田空港と都心部を結ぶ最短ルートで、定期航路の設定は初めて。

 見どころとして、1930(昭和5)年竣工の万世橋たもとにある船着き場や、大型船では航行できず、背の低い船で通る神田川などに掛かる30橋以上ある橋梁群などを挙げている。国交省では、訪日外国人にも、水辺からの東京の眺めを訴求したいという。

 料金は羽田空港-秋葉原間が大人2900円(16日までに購入の場合。当日購入は3500円)、子供2000円(同2500円)、秋葉原-品川(天王洲)間は大人2380円(同3000円)、子供1500円(同2000円)、品川(天王洲)-羽田空港間が大人1620円(同2000円)、子供900円(1000円)。40人乗りで屋根のない運河船を、クルーズを手掛けるジール(港区海岸)が運航する。

 8日間で1500人が実験に参加する予定で、採算性や参加者の動向を調べて改善点を洗い出す。参加者にはA4用紙1枚のアンケートを配り、楽しかった点や要望などを尋ねる。

即日完売で増便


 乗船券は8月25日の発表と同時にほぼ完売し、予想以上の反響に国交省とジールでは驚いたという。9月10日発表の増便分も土日は完売。平日分のみ販売している。

 実験にかかる費用は各事業者が負担し、行政側の予算はゼロ。国交省やジールのほか、羽田の船着き場や羽田空港の国内線ターミナルを運営する日本空港ビルデング、跡見学園女子大学などが参加する。羽田空港では、跡見学園の学生が参加者の案内などを手伝う。

 同省総合政策局の佐藤寿延・事業総括調整官は、「雨風など課題はあるが、まずやってみる。乗ってもらうと気持ちよい」と話し、関係者間で調整がつけば、今回よりも長期間の社会実験を来春にも実施したいという。

 今回使用する羽田空港船着場からは、お台場や横浜への航路が設定されているが、日曜日のみの運航。実験により、羽田から毎日運航する定期航路の可能性を探る。
吉川忠行
吉川忠行 Yoshikawa Tadayuki Aviation Wire 編集長
羽田空港と秋葉原を船で結ぶ社会実験が行われます。高さの低い橋を通り抜けたり、普段とは視点を変えて東京を見られて楽しいです。こうした計画はなかなか実現しないものですが、課題がいろいろと想定される中で、まず始めたというところにも意義があると思います。

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