マツキヨとココカラが統合合意、ドラッグストア業界の伸びしろはどこにある?

マツモトキヨシホールディングス(HD)とココカラファインは、2021年10月の経営統合に合意した。統合に先立ち新会社を設立して株式を移転し、マツキヨHDとココカラファインを傘下に置く。新会社の社長にはマツキヨHDの松本清雄社長が就任する予定。 統合後の一定期間は両社ブランドを併用する。統合によりツルハホールディングスを抜いて売上高約1兆円、約3000店を有する業界トップ企業となる。  ドラッグストアの販売額は、近年上昇を続けている。図1のグラフで商品別の寄与度を見ると、最も大きいのは食品である。  ドラッグストアの中でも、食品の品揃えが豊富な郊外の大型店舗はスーパーと、オフィスワーカーなどの需要を見込んで弁当やホットスナックも取り扱う都市部の小型店舗はコンビニエンスストアと競合するが、経済産業省の商業動態統計調査が「ドラッグストア」として調査集計を開始した2014年以来、販売額が4年連続して前年比プラスが続いており、最も勢いのある業態だ。  食品に次いで寄与度が大きいのはビューティーケア(化粧品・小物)、家庭用品等に次いでOTC医薬品が4番目の大きさだ。「ドラッグストア」だけあって、医薬品・化粧品等の寄与度も大きくなっている。  そこで、商業動態統計調査の業種別集計から、医薬品・化粧品小売業の販売額を見てみよう。販売額前年比を数量要因と価格要因に要因分解したのが図2のグラフ。前年比が上昇している主な要因は数量要因の寄与によることがわかる。医薬品・化粧品の販売量は確実に増えてきていたようだ。  近年、ドラッグストアで、訪日外国人観光客向けのサービスとして中国語など外国語で書かれた広告や、免税カウンター、各種決済サービスを利用できるレジや、外国語で応対する店員の方を目にすることも多いかと思う。  訪日外国人消費額が最も大きな国は中国(含む香港)で、消費額の約34%を占めるが(訪日外国人消費動向調査<観光庁>)、訪日中国人のうち、実に約90%、訪日香港人のうち、約75%がドラッグストアで買物をするようだ。では、ドラッグストア側から見て、インバウンド需要はどれほど売上に貢献しているのだろうか。  まず、訪日外国人による医薬品・化粧品等(トイレタリー、健康グッズ、香水も含まれます)の買物額の推移を見てみよう。図3のグラフで塗りつぶした部分がそれに該当するが、右肩上がりで上昇している。訪日外国人消費全体が低下した2016年後半頃には、医薬品・化粧品等の買物額も低下したものの、2017年には再び上昇し、2018年は通年で6,413億円だった。  次に、訪日外国人の購入額がドラッグストアにおける同商品群の販売額に占める割合を試算したのが、図3の折れ線グラフである(右軸)。訪日外国人が医薬品・化粧品等をドラッグストアから購入する割合のデータは存在しないため、その割合が100%、50%、25%の3つのケースについて試算した。  特に化粧品には百貨店でしか販売していない商品もあり、全てをドラッグストアで購入しているとは考えにくいが、仮に、50%をドラッグストアで購入しているとしても、そのインパクトは10%と、それなりに大きな影響を持つことがわかる。  以前、訪日外国人の家電等の買物額について分析した際には、訪日外国人消費額の多い国・地域の自国の為替レートが円に対して強い時期に、家電等の買物額が増えることがわかった。医薬品・化粧品への為替の影響度合いはどうだろう。  図4のグラフを見ると、医薬品・化粧品等も、訪日外国人の自国の為替レートが有利になった2015年頃(左上グラフ)に買物額が急上昇している。しかし、その後為替レートが不利になると共に買物額が減少した家電などと異なり、医薬品・化粧品の買物額は増加している。  買物額の変動を、購入者単価と購入者数とに要因分解して見てみよう。図5の家電などのグラフは、訪日外国人にとって為替が不利になった2016年あたりは、購入者数も、購入者単価もマイナスとなっている。  特に、購入者単価の大幅なマイナスが、購入額前年比マイナスの主な要因のようだ。これに対して、左上の医薬品・化粧品などのグラフは、この頃、購入者単価はややマイナスになっているものの、購入者数が増加し続けており、購入額前年比もごく小幅なマイナスにとどまっている。  つまり、家電などでは為替が不利だと一人当りの購入額が小さくなるだけでなく、購入自体を取りやめる人が多いが、医薬品・化粧品では、財布の紐を引き締める要因にはなるものの、購入を取りやめるまでには至らないようである。  このように、両者とも、為替レートのもたらす「お得感」が購買意欲に影響することには変わりありませんが、より商品単価が小さいケースが多い医薬品・化粧品等ではその影響は小さく、訪日外国人は安定的な顧客となりつつあるようだ。 METIジャーナル

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