ニュースイッチ

AI搭載、下肢まひ患者を支える「直立四足歩行型アシストスーツ」

AI搭載、下肢まひ患者を支える「直立四足歩行型アシストスーツ」

パワーアシストロボットを装着して歩行する(豊田工大提供)

豊田工業大学の成清辰生特任教授らは、直立四足歩行型のアシストスーツ「パワーアシストロボット」を開発した。下肢まひ患者やリハビリ時の歩行支援での利用を想定。人の意図に合わせた動作ができるアルゴリズムを開発し、利用者の障害レベルに合わせた力加減で歩行をサポートする。今後、スーツの軽量化など実用化に向けて企業と共同研究を行う方針。

パワーアシストロボットは腰と足にベルトで装着し、体を支えるつえ状の左右2本の前脚を握って利用する。このほか駆動用バッテリーをリュックを背負うように身につける。

前脚を前方に動かすと、ロボットに装着している足を踏み出すことができる。2本の前脚を交互に前方に動かして歩行を支援し、前方に動かす幅によって足が踏み出す幅も調整できる。

歩行支援を目的にしたアシストスーツは体を支えるため、別に補助器具を必要とするタイプが多い。今回開発したパワーアシストロボットは、身体を支える前脚を足の動きと連動させることで歩行時の安定性を高めた。

また歩く際、人が強引にロボットに動かされていると感じにくくするため、人の意図を推定できる人工知能(AI)制御を開発。足の関節角などの信号を読み取り、信号が小さい場合は大きな力で足を動かし、反対に信号が大きい場合は小さな力で歩行を支援する。

現状は重量が29キログラムあり、さらに軽量化を図る。人の体にフィットする最適形状などでも改良を重ねていく。

日刊工業新聞2020年1月21日

編集部のおすすめ