工作機械業界を取り巻く経営者たち、浮上への期待と不安

受注予測「微減」1兆2000億円だが…

日本工作機器工業会の寺町彰博会長(THK社長=左)と日本工作機械工業会の飯村幸生会長(東芝機械社長)

日本工作機械工業会(日工会)が15日発表した2019年の工作機械の年間受注実績(速報値)は、前年比32・3%減の1兆2297億5500万円で3年ぶりに減少した。内需は5000億円を5年ぶりに割り込み、1兆円ペースできた外需も3年ぶりに同大台を下回った。 12月単月は、前年同月比33・6%減の899億6900万円で15カ月連続の減少。外需は決算商戦の月ではあったが、落ち込みが顕著だ。12月としては、リーマン・ショック翌年の09年以来10年ぶりに550億円を割った。内需は同34・9%減の372億800万円で13カ月連続の減少だ。 日工会では20年の受注高を1兆2000億円と予想する。月の健全水準である1000億円を平均で維持するとみる。1、2月は受注水準が低く出る傾向があり、今年も年初は低調な推移が予想される。業界では半導体関連の伸びを背景に、20年後半の巻き返しを予想する声が多い。 2020年の工作機械市場は、前年から続く調整局面が年前半まで長引くと予想され、各社の底力が問われそうだ。18年頃の製品供給が追いつかないほどの“売り手市場”から一変し、いかに顧客に新鋭設備の効果を訴求して更新を促し、同時に保守サービスで収益を確保するかが重点施策だ。中長期で意味ある設備更新とするための商品力、故障対応だけではない戦略的なサービス力が試される。 日本工作機械工業会(日工会)による工作機械の年間受注予測は1兆2000億円。1兆2000億円強に終わったとみられる前年から微減の見通しだ。停滞局面が4月をめどに反転し、4、5月にも健全水準の月1000億円を持ち直すと見立てた。世界経済の先行き不透明感の排除とともに、反転のための重要要素としたのが「顧客に新しい設備の効果を証明すること」(飯村幸生日工会会長)と、生産性や品質の向上、省人化など中長期視点での更新利点を納得させることを重視する。 日本機械工業連合会(日機連)が19年に実施した生産設備に関する調査では、国内22万台のうち設備年齢10年以上が62・4%、20年以上も35・4%と老朽化は明らか。変種変量、品質向上、多品種少量の時代にあって、競争力を高めるための設備更新需要は大きい。 DMG森精機の森雅彦社長は「設備需要が戻った時、置き換わる20年前の機械は3軸が多い。従来3台だった機械を1台にするなど複合化した商品を持って売れる会社ではないともう生き残れない」と指摘する。複合、5軸の機械を製品の核に市場を掘り起こす。アマダホールディングス(HD)は、従来の商品構成にこだわらず、品ぞろえを充実する。レーザー加工機で大寸法加工対象物(ワーク)向けのほか、「北米で要望の強いさらに高出力の商品を来期にも投入する」(磯部任社長)と、同加工機で既納機1万6000台の市場を掘り起こす。 日本工作機器工業会の寺町彰博会長(THK社長)は16日、2020年の工作機器市場について「年前半は厳しいが、後半に伸びて年間では販売額がプラスになると期待する」と見通しを語った。19年は過去最高を更新した18年と比べ、18%減(約1900億円)にとどまったようだ。主要供給先の半導体製造装置業界は20年度の販売額が前年度比8・0%増の2兆2311億円、工作機械業界は20年の年間受注高を前年比2・4%減の1兆2000億円と予想している。 同日都内で開かれた同工業会の賀詞交歓会で、寺町会長が述べた。19年が1900億円規模となれば、04年以来で7番目程度の水準になる。今年の事業環境については「(顧客業界の)半導体、デジタル分野が確実に進む」と述べ、第5世代通信(5G)などを背景にした需要創出に期待した。 同工業会は、直動案内機器やボールネジなど製造装置、機械の要素部品メーカーで構成する。日本半導体製造装置協会(SEAJ)は、記録用半導体メモリーの投資回復で20年度の販売増を見通す。半導体需要は米中関係の悪化を背景に停滞していたが復調の兆しがある。日本工作機械工業会(日工会)も年央からの緩やかな市況回復で、年間受注高が月平均1000億円の健全水準を維持するとみている。 <関連記事> ● ● ●

続きを読む

関連する記事はこちら

特集