JAXAが研究を進める「月面農場」、いつ実現?

人類で初めて月に着陸した米国の宇宙飛行士(NASA提供)

人類が初めて月面に降り立ってから50年が経過する今、宇宙開発が再び注目されており、特に月面を目指して世界の各プレーヤーがテクロノジー開発を進めている。月面で有人活動を行うには月面基地が必要となり、月面基地を建設するためには月面地図や燃料・食糧の確保、有人機の離着陸ポート、通信インフラ整備など、多岐にわたるインフラ整備が必要となる。 一般に地球から月面に物資を送るためには1キログラムあたり1億円かかり、宇宙飛行士が1時間宇宙空間で作業を行うと約500万円かかる。できる限り有人作業を減らしたり、月面作業を効率化したりすることは重要な要素となる。 宇宙航空研究開発機構(JAXA)では、将来、人類が宇宙ステーションや月・火星で生活する際の食糧確保のために植物生産システム(月面農場)の研究を進めており、月面における宇宙飛行士の作業を最小限とするために、作業の自動化、高効率化を目指した技術開発を支援している。 このJAXAが進める宇宙探査イノベーションハブは「地球の優れた農業・バイオ技術の応用と更なる技術革新」「地産地消(可能なかぎり地球からの補給を最少にする自給自足型の宇宙システム)」をキーワードに掲げ、地上の優れたロボティクス技術を応用して、宇宙だけでなく地上の農業にもイノベーションを起こすような共同研究を進めている。 我々が提案した「ロボット技術等を用いた高効率食料生産システム」が2019年度のJAXA宇宙探査イノベーションハブ事業に採択され、いよいよ月面農場の実現に向けて共同研究がスタートする。これまでに培ってきた農業技術とロボット技術を融合したハイブリッドな食糧生産システムとなり、省リソース(空間、電力、水など)を目指した人工知能(AI)による自動・自律制御ロボットを研究開発することになる。 現在、地球上はかつてないほど環境問題がクローズアップされている。人類はわずか200年足らずの間に利便性を求めて地球資源を消費し続けた結果、環境破壊が地球規模で拡大し、人類以外の生物を絶滅に追い込み、地球の自然環境は確実に消失している。 我々は月面農場の技術開発を通じて、地球上でも省リソースによる自動食糧生産システムを開発・普及させることで、環境汚染を減らして地球環境に優しい農業技術を提供し、人類の食糧確保を支える企業になりたい。農業の未来を豊かにすることで、人類の未来に新たな希望を創出したいと考えている。 銀座農園社長 飯村一樹 97年(平9)日大生産工学部卒。不動産金融ベンチャー企業などを経て、銀座農園を設立。ロボットビジネス支援機構(ロビジー)アドバイザー兼スマート農業ワーキンググループ副座長。

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