主要市場の冷え込みが顕著なデンソー、それでも7兆円へ「CASE」投資緩めず

有馬浩二社長インタビュー

「クルマの中に広がる、イキイキとした世界」を目指す(同社公式サイトより)

―中国やインドなど主要市場の冷え込みが顕著です。足元の事業環境をどう見ますか。 「地域差はあるものの、特にアジアで減速感がある。中国は厳しいがCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)領域での対応を加速する。インドもかなり落ち込んでおり、固定費(の削減)を含め手を打っているところ。ただ、あれだけの人口を抱え、中間層の生活水準も確実に上がっているので、有望市場であることに変わりない」 ―CASE分野の戦略は。 「CASEでは業界をリードしていると考える。今後もこの立ち位置を確保するには、苦しくても開発投資を継続することが重要だ。一度開発を止めると技術の進化に追いつくのは相当大変。事業環境が厳しくても稼ぐ力をつけて開発を進め、将来の事業基盤を盤石にしていく」 ―収益力をどう高めていきますか。 「RPA(ソフトウエアロボットによる業務自動化)や人工知能(AI)などを活用し、開発から設計、生産、アフターサービスまで一連の業務プロセスで価値を生み出す。1月にITデジタル本部を新設し、デジタル化やデータの利活用を全社で進めるための司令塔とする。現場の管理部門などとも連携し、まずは3年間でレベルの向上を目指す」 ―来期の設備投資、研究開発費の方向性は。 「今期と同水準を考えており、そこは手を緩めない。研究開発では電動化や自動運転、ソフトウエアなどが重点分野となる。限られた開発費の中でCASE分野のウエートはおのずと高くなる。ベンチャーなどへの出資も資金枠を別に設けており、目利き力を磨きながら件数を増やす」 ―トヨタ自動車グループの部品メーカーと次世代技術の新会社を設立するなど、グループ連携を加速しています。 「CASEでは各社の知見を持ち寄れば、もっと早く良いものが生み出せるだろう。ただ、各グループがこれまで競争心を持ってやってきた中で、急に一緒にやろうとしても受け入れにくいものはある。そこをマインドセットし、理念やビジョンを共有できるかが重要となる」 【記者の目】 事業環境に不透明感が漂うものの、2025年度に売上高7兆円(20年3月期見通しは5兆2600億円)を目指す長期構想は堅持する考え。CASEへの投資が避けられない中、収益体質の改善が眼前の課題だ。メガサプライヤーとしての地位を盤石にするためにも、スピード感のある打ち手が求められる。 (名古屋・長塚崇寛)

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