人や植物の祖先に近い微生物を培養した!

MK―D1株の電子顕微鏡写真(海洋機構提供)

海洋研究開発機構の井町寛之主任研究員らは、人間や植物を含む真核生物の祖先に近い微生物「アーキア」の一つを深海の堆積物から採取して分離し、世界で初めて培養に成功した。全遺伝情報(ゲノム)の解析により、真核生物に特有な遺伝子を多く持っていることが分かった。アーキアから真核生物への進化の道筋や、真核生物の起源の解明につながる。産業技術総合研究所などとの共同研究で、成果は16日、英科学誌ネイチャー電子版で発表される。 真核生物は、単純な構造をした原核生物が他の原核生物を細胞内に取り込んで誕生したとされている。これまで深海堆積物の網羅的なゲノム解析により、「ロキアーキオータ」などを含むアーキアの一群が真核生物に近いことが明らかになったが、詳細は分かっていなかった。 研究チームは2006年、有人潜水調査船「しんかい6500」により海洋堆積物を採取。採取環境を再現した培養条件で培養し、微生物を分離した。その結果、堆積物を採取してから12年後、ロキアーキオータの中の一種で、「MK―D1株」を培養に成功した。 MK―D1株は無酸素環境で増殖し、アミノ酸などをエネルギー源とする。細胞は直径約550ナノメートル(ナノは10億分の1)の小さな球菌で、増殖時に細胞同士が集まった凝集体を形成し、細胞外に突起構造を形成するという特徴も明らかになった。ゲノムを調べると真核生物に特有の遺伝子も多く存在しており、実際に発現していることも確認できた。 産総研の延優(のぶ・まさる)研究員は「アーキアにとって有害な酸素の代謝のため、ミトコンドリアの祖先との共生が始まった可能性がある」と話した。

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