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地中熱利用の普及のために欠かせないステップ

地中熱利用の普及のために欠かせないステップ

帯水層蓄熱冷暖房システムを稼働している本社社屋(山形市)

自然との共生をメーンテーマに地下水の開発と有効利用を主力に取り組む日本地下水開発(山形市、桂木宣均社長、023・688・6000)。1962年の設立以来、自然との共生で社会に役立つ事業活動を実践しており、近年は再生可能な熱エネルギー「地下水熱・地中熱」の有効利用に力を入れている。桂木聖彦専務に今後の取り組みなどについて聞いた。(山形支局長・大矢修一)

―CSR戦略の考え方は。
「会社設立以来、自然との共生を社是に掲げ、地下水の開発と有効利用を進め、本業で役立ててきた。具体的なCSR戦略は示してはいない。ただ、これまでの当社の歩みは国連の持続可能な開発目標(SDGs)に向けた取り組みを実践している点がある。関連する社会課題として五つに取り組んでいる」

―地下水熱・地中熱の有効利用を促進しています。
「新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の再生可能エネルギー熱利用開発事業に取り組み、産学官で、18年に高効率帯水層蓄熱冷暖房システムを開発した。従来システムと比べ初期導入コスト21%削減と、運用コスト31%削減にめどをつけた。再生可能エネルギーとして熱エネルギーの利活用を広く呼びかけている」

―試作モデルは本社の社屋で稼働しています。
「83年に試作モデルとなる帯水層蓄熱冷暖房システムを本社に導入した。環境省の事業では性能評価を行った。その後、システムをリニューアルし、現在も稼働中だ。二酸化炭素(CO2)排出量を従来型冷暖房システムと比べ50%以上低減することに成功した。その点で、気候変動に具体的な対策を進めてきた。本社社屋のシステムは一般にも公開している」

―今後の展開は。
「地中熱など熱利用について普及はこれから。一般に日本ではまだまだ認知は進んでいない。これからは異業種を含めて多くの企業が手を組み、各社の技術を組み合わせたシステム開発などが欠かせない。そのためにも産学官連携で新たなステップを踏みたい」

日刊工業新聞2020年1月15日
松木喬
松木喬 Matsuki Takashi 編集局第二産業部 編集委員
地中熱利用は広がっているものの、太陽光発電などのような認知度がまだまだ。行政のPR不足もあると思います。5、6年前、福島県の同社施設で見学させてもらいました。地方で環境事業を専業として継続している企業に報いる政策を政府に求めたいです。

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