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長い停滞期に入った中国の自動車販売で、日本メーカーのシェアが上昇しているワケ

10年ぶりに2割超え、トヨタやホンダが好調
長い停滞期に入った中国の自動車販売で、日本メーカーのシェアが上昇しているワケ

今年中国で投入されるトヨタのEV「C―HR」(昨年の上海モーターショー)

中国自動車工業協会によると、2019年の新車販売台数は前年比8・2%減の2577万台と、2年連続で前年実績を下回った。マイナス幅は18年の2・8%から大きく拡大した。同協会は20年も2%減少を見込む。消費の柱である自動車市場の不振が長期化すれば、景気減速が強まる可能性もある。

乗用車は9・6%減の2144万台、商用車は1・1%減の432万台。米中貿易摩擦などを背景に購買意欲の低迷が続いている。急成長を遂げてきた電気自動車やプラグインハイブリッド車など「新エネルギー車(NEV)」は補助金削減が響き、4・0%減の121万台と初めて前年を下回った。

政府は20年にNEV向け補助金を全廃する計画だったが先送りされる見通し。ガソリン車と合わせ、販売てこ入れを狙う。25年の新車販売に占めるNEVの割合目標を25%に引き上げた(従来は20%)。中長期的には中国市場の主戦場になる見通し。

一方、日系メーカーは堅調を維持した。乗用車販売に占める日系の比率は21・3%と前年から2・5ポイント上昇、10年ぶりに2割を超えた。日中関係の改善に加え、品質の高さが改めて評価された。トヨタ自動車が9・0%増の162万台で高級車「レクサス」などが好調、ホンダも8・5%増の155万台だった。日産自動車は1・1%減の155万台にとどまった。

中西孝樹
中西孝樹 Nakanishi Takaki ナカニシ自動車産業リサーチ 代表
構造調整に落ち込んだ中国新車市場は、2年連続で減少となった。2020年から回復基調に入る可能性が高いものの、非常に低成長に留まる公算だ。2017年のピーク需要を更新するのにここから数年間はかかるだろう。右肩上がりが前提であった中国市場は、2017年から2023年頃まで高原横ばいの中期的な停滞局面にあることを認識することは大切。 NEVは補助金撤廃先延ばしで息を吹き返しそうだ。

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