シリコンバレーでは出前も病院内搬送も!ロボットは「世界の社会課題」をどこまで解決できるのか

SDGsは商機

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国際ロボット連盟によると、世界の業務用サービスロボット市場規模は2018年実績で約1兆円であった。同じく個人・家庭用は約3900億円であり、今後も堅調に伸びていくと予想される。 業務用サービスロボをけん引するのはロジスティクスと医療分野だ。コミュニケーション、業務用清掃、アシストスーツ、農林水産用の伸びが堅調だ。コミュニケーションロボは一時期その可能性が疑問視されていたが、人工知能(AI)やソフトウエア、通信技術の向上とともに活用の幅が広がっている。特に教育や医療での活用が積極的だ。 また搬送ロボは使い勝手の良さから、物流、農業などで活発に活用され始めている。シリコンバレーでは、出前を搬送ロボが行うという状況が生まれている。スマートフォンのアプリケーションから注文すると搬送ロボが出前をする。1日500回程度の注文を受けるなど、「当たり前」の状況が目前である。 同じシリコンバレーのとある病院では病院内搬送を担うロボが数十台導入されており、朝夕、フル稼働でさまざまなものを運んでいる。ロボがいないと業務が成り立たない状況だ。 来年度は第5世代通信(5G)の利用が世界的に活発化してくる。ロボットには追い風となる。複数ロボ同時利用が容易になり、低遅延化により遠隔ロボ活用の幅が広がる。これにより「スマートアグリシティー」、「スマートウエアハウス」など全体最適をかなえる仕組みの構築が可能になる。 ロボビジネスの肝はいくつかあるが、特に重要なのは、「ロボットは世界課題を解決する」ということだ。国連の持続可能な開発目標(SDGs)が広がりを見せている。日本ではコストととるのが大勢を占めるが、世界では商機ととらえるのが多数派だ。すでに関連ビジネスは活発になってきており、ある調査によると全世界で数百兆円の経済規模が見込まれている。 一方、サービスロボはもともと人間を助けるために誕生したものであり、介護、危険作業、人材不足対応などの課題解決利用は得意とするところだ。また遠隔にいながらあたかも現地にいるように動かすことができる「テレプレゼンスロボット」の利用により、体の不自由な方でも外で働くことと同じ状態を実現できる。倉庫でのロボ利用もそもそもは人間を助けることにある。大規模倉庫では従事する人の長距離歩行や重量物運搬が問題になっていた。それをかなえるということで搬送ロボが導入され、広がりを見せている。 つまり利益追求型ではなく、社会課題解決型の考えが必要ということだ。これは、いみじくも日本が誇る渋沢栄一が提言した「道徳経済合一説」の考えに近い。他の利益の追求が自身の利益につながり、自身の利益の追求は他の利益の増大につながる。ロボビジネスに携わるすべての人は、これを考えの礎としてビジネスを考え、ロボ利用を考え、そして、自社の成長につなげるのがよい。 そのような会社が増えることでロボット業界の活性化とサステナブルな世界の実現の両方が達成できる。人間とロボットによる新たなサステナブル社会の到来、それを実現するのが本稿の読者の方々である。(文=伊藤デイビッド拓史<ロボットビジネス支援機構専務理事>) <関連記事>

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