万博も開催、2000社のスタートアップが在住するドバイの魅力

アラブ首長国連邦(UAE)は、早くから大型空港や港湾などのインフラやフリーゾーンといった事業しやすい制度の整備を進め、ドバイを中心に中東・北アフリカ(MENA)地域のビジネス・ハブとして発展してきた。特にドバイには域内企業だけでなく、同地域でのビジネス拡大のために多くのグローバル企業も地域本部拠点を有している。UAE政府は近年、知識経済の形成を目標に掲げ、イノベーティブな技術・知見を有する企業や専門家誘致のための制度緩和を進めている。ドバイは新たに地域のスタートアップ・イノベーションのハブとしても注目されてきている。 ドバイ商工会議所によると、約2000社のスタートアップがドバイに所在しているという。UAEで活躍する起業家の多くは外国人で、MENA域内だけでなく、欧州諸国や南アジア出身者も多い。ドバイに拠点を置くアクセラレーターであるAstroLabsは、ドバイ進出の魅力として(1)企業設立のしやすさ(2)法人・個人ともに非課税(3)国籍にかかわらず在住ビザ取得のしやすさ(4)新興市場へのハブ(5)資金アクセスのしやすさ(6)生活環境の良さ―を挙げている。 こうした魅力に加え、企業総評価額10億ドル以上のユニコーン企業であるドバイ発の配車サービス大手カリームが2019年3月にライドシェア世界大手の米ウーバーに31億ドルで買収された。ドバイ発のスタートアップとして初の10億ドル超えでの被買収案件の出現で、インキュベーターとしてのドバイの評価が高まっている。 こうした中、ジェトロは日系スタートアップの中東進出を支援するため、16年から、毎年10月に開催される域内最大規模のスタートアップイベント「GITEX Future Stars」にジャパンパビリオンを出展している。19年には人工流れ星の開発を行うALEや人に寄り添うロボットを開発したGROOVE Xなど日系スタートアップ15社が出展した。同イベントにはUAEだけでなく脱石油依存を掲げて経済多角化や新産業誘致に積極的に取り組む、サウジアラビアなど中東諸国の政府機関や企業、投資家も数多く来場しており、ジャパンパビリオンにおいても多数の商談があった。 他国のスタートアップでは、ドバイ道路交通庁と組んでドローン・タクシーの試験運行を行っているドイツのVolocopter、自律走行型ポッドの試験走行を行っているNext Future Transportationなど、UAEで実証実験を行うスタートアップもある。ドバイが社会課題へのイノベーティブな解決策への実証機会などを提供するドバイ・フューチャー・アクセラレーション・プログラムなど、政府として、ドバイをイノベーティブなテクノロジーのテスト・ベッドとするための支援策も増加している。今後もUAEで実証実験などを行うスタートアップは増加していくだろう。ドバイにおける日系スタートアップの進出事例はまだ少ないが、こうした支援策も活用しながら今後拡大していくことが期待されている。(ドバイ事務所・山本和美)

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