1億ユーロで研究開発拠点、ボッシュが本気のAI活用で試す“真の可能性”

AIを導入した「バーチャルバイザー」

独ボッシュは人工知能(AI)の本格活用に乗り出す。1億ユーロ(約120億円)を投じてドイツに研究開発拠点を設置。同拠点で2022年末までに専門家を700人体制に整え、AIの活用と製品搭載を加速する。25年をめどに自動車部品などの同社製品全てに搭載する計画。併せて既存人材の育成を始めて、今後2年間でAIに精通した従業員を約2万人に拡大する。AIを用いた製品群を増やすことで、自動運転やコネクテッドカー(つながる車)などの技術革新を促す。(取材=米ラスベガス=日下宗大、渡辺光太) 新設する拠点にはボッシュだけでなく、外部のスタートアップ企業や研究グループのAI専門家が入る予定。すでにボッシュは世界7拠点でAIの研究開発を手がけており、約250人の専門家を雇用している。新拠点は最大の拠点になる見通しで、AIの活用を本格化させる。AIの有効性が見いだせたことで投資と人材の拡大を決めた。 ボッシュは世界中の拠点で二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出量削減している。目標達成に向けて、AIが果たす役割が大きいという。開催中の家電・IT見本市「CES」で発表した日よけ用グラス「バーチャルバイザー」や運転手監視システムにもAIを導入。両製品ともAIが運転手の状態や周辺状況を分析することで、性能を最大化できる。 一方で現従業員も育成する。まずは約1万6000人の管理職にAIのビジネス面に関する研修を実施。エンジニア向けに実務の事例と演習をオンライン上で学習してもらう。21年までに3000人が受講する見込み。また、AI開発に携わった経験がある約500人のエンジニアに向けて、難易度の高い研修プログラムを設ける。 「SF映画などでAIを開発することは“パンドラの箱”を開けることだとされてきたが、(前向きに)真の可能性を試す時がやってきた」(ミヒャエル・ボレ取締役)としており、応用フェーズに軸足を移す。 ボッシュのAI戦略について、チーフテクノロジーオフィサー兼チーフデジタルオフィサーのミヒャエル・ボレ取締役に聞いた。 ―25年までに製品全てにAIを搭載する計画です。 「IoT(モノのインターネット)分野のリーディングカンパニーとしては、実際の製品にAIを投入することが非常に重要だ。懸命に取り組んでいる。計画を達成するには、広域性や専門性が必要だ。現在は社内でAIの開発などに1000人が従事している。その内、250人は特に高度なAIに関する知見を持つ専門家だ。彼らは17年に設立した『ボッシュAIセンター』に所属している。ただし、AIの研究は10年以上前から行っており、今、何か始まったという訳ではない」 ―AI人材の採用方法については。 「重要なのは露出だ。(学会など)世界的に著名な会議で当社のAI専門家が発表する。会議に来る優秀な人材に当社の魅力を知ってもらう。現に、そういった会議で250人の専門家を採ることができた」 ―注力領域として「モビリティー、家庭、製造」の三つを掲げました。 「モビリティーで大事なのは自動運転。家庭はスマートホーム、製造は生産工程が自動化される際にAIがカギとなる」 ―今回のCESではトヨタ自動車が明らかにしたスマートシティー事業に乗り出す動きも出てきました。 「他社のことはコメントできない。スマートシティーにはさまざまなアプリケーションがあり技術を提供することはある。しかしスマートシティーそのものに対しては焦点を当てるつもりはない」

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