ニュースイッチ

布地に回路パターンの「導電性繊維」、拡販するセーレンの狙い

布地に回路パターンの「導電性繊維」、拡販するセーレンの狙い

メタフレックスの技術で布地に印刷で作った回路パターン

セーレンは導電性繊維を工業用途の電極や配線などに向けて拡販する。繊維に金属の膜を複合する技術を高度化し、布地に回路パターンを印刷と独自の金属複合で描いてフレキシブル回路にする。さらに、金属複合糸を布地に編み込み、優れた耐屈曲性や伸縮性が得られるようにした。スマートフォンなどのほか、自動車や医療などの用途を開拓する。5年内に売上高を現状比約2倍の50億円規模にする。

電磁波シールドやノイズ対策の主力製品「プラット」の進化形として、フレキシブル導電素材「METAFLEX(メタフレックス)」の名称で本格営業を始めた。

メタフレックスは用途に合わせて単一や複数種の金属を布地や糸にメッキ技術で膜として複合させる。導電性に優れた仕様で、銅と銀の複合仕様の抵抗値は、一般の導電ペーストの1割弱の水準を実現した。生地上に作れる回路パターン線幅は1ミリメートル程度。

5万回の屈曲でも劣化が少ないフレキシブル回路や、金属複合糸を編み込んだ生地は50%の伸縮性も持たせられる。

すでにスマートフォンやタブレット型パソコンの周辺機器の折り畳み部の配線などに採用され、2019年度の売上高は25億円規模に育った。

静電容量センサーの電極用でも引き合いが増えており、今後、自動車をはじめ、筋電センサーなど医療、宇宙・防衛分野に提案していく。

プラットを含め、導電性繊維は、電磁波の遮蔽(しゃへい)やノイズを抑える用途で主に使われてきた。近年は、折り畳みや湾曲形状などの製品に使える導電素材の顧客ニーズが高まっている。

<関連記事>
北陸の染色屋とスターバックス、その意外な関係

日刊工業新聞2020年1月10日

編集部のおすすめ