164万人登録の福岡市LINEアカウント、災害にどう役立てる?

昨年9月には学生向けに体験会を開き、実際に避難所まで歩いて向かった(LINE Fukuoka)

万が一の時にどんな行動を取るか―。地震や大雨など突発的な災害が発生した際、避難へのとっさの判断が生死を分ける。LINE Fukuoka(福岡市博多区)は「LINE」の自治体公式アカウントを活用し、日常生活の中で災害への備えや意識を高めて行動するための機能を提供している。(取材・高田圭介) 約164万人が登録している福岡市公式アカウント内で構築しているのが「避難行動支援モード」。平常時の備えから災害復旧支援までの一連の流れを「平常時」「災害時」「復旧支援」に分けた三つのモードで成り立つ。 平常時モードには災害発生時の備えを意識づける機能を盛り込む。家や職場に近い避難所を調べて家族や友人と共有できるほか、ハザードマップと接続することで災害リスクの認識につなげる。事前設定で市が発令する避難情報や気象情報、地震情報の通知も可能になる。 実際に震度5強以上の地震や警戒レベル3以上の気象災害が発生した際には災害時モードへ切り替わる。災害に遭った際の行動は、家や職場、屋内、屋外などシチュエーションによって異なる。その時に居る場所を入力すると適切な避難行動をメッセージで案内する。位置情報を送信すれば現在位置に近い避難所を示し、避難経路の確認や家族や友人などと避難先を共有することによる安否確認手段にもなる。 災害発生から一段落すると復旧支援モードが生かされる。災害発生直後は、道路の陥没や河川、公園などの損傷について、自治体職員でも把握が難しい。そこで被害状況を目にしたユーザーが位置情報を知らせてカメラで撮影して投稿することで、担当部署への情報提供になり、対応の要請を促す。コミュケーションツールとしてのLINEの特性を生かし、電話のやりとりで時間がかかったり、混乱したりする状況を回避する狙いもある。 避難行動支援モードや通報システムは、2018年にスマートシティー構想を掲げて福岡市との間で結んだ包括連携協定の取り組みから生まれた。頻発する災害への備えや対応方法を両者で構想。関係部署や熊本赤十字病院(熊本市東区)のアドバイスを基に「市民参加型で自ら行動できるツール」(南方尚喜SmartCity戦略室長)として機能に反映している。 19年9月に始めた実証で得た市民の声を基に改善し、11月には三つのモードによる提供を始めた。福岡市との取り組みをきっかけに、他の自治体にも引き合いの声は広がっている。 将来は海外での活用も見据える。11月に開いた「LINE SMART CITY DAY FUKUOKA 2019」では、台湾・台北市と福岡市LINE公式アカウントを活用した情報提供の構想を発表した。LINEの普及率が高い台湾やタイなどはいずれも日本同様に災害リスクが高い。今後、国内にとどまらず、国境を越えたつながりから情報の在り方、伝え方を求めていく。

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