【連載】よく分かるCOP21

第1回「オバマ氏、温暖化交渉に再登場」

オバマ大統領の交渉力に注目(首相官邸ホームページより)

**合意が確実視されるパリ会議  国連の気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)が11月末、フランス・パリで開かれる。国際社会はすべての国が参加する歴史的な枠組みをつくり、地球温暖化防止への新たな一歩を踏み出す。先進国と途上国が激しく対立し、ここ数年のCOPは膠着状態が続いた。合意が確実視されるパリ会議は、今後の経済や社会に変革を迫る転換点となるだけに久々に世界が注目するCOPとなる。  8月上旬、米国のオバマ大統領は石炭火力発電所への規制を強化すると発表した。もともと米環境保護局が火力発電所から出る二酸化炭素(CO2)を30年までに05年比30%削減する規制案を公表していた。オバマ大統領は大統領権限を使い、2ポイント上乗せした32%に規制を拡大した。  米政府は3月、温室効果ガス排出量を25年までに05年比26から28%削減する約束草案(目標)を国連の条約事務局に提出済み。この数値が、20年以降の新しい枠組みの米国の目標となると見込まれる。オバマ大統領は火力発電への規制強化で目標達成を後押しする。  COP21に向けたオバマ大統領の積極姿勢が目立つ。14年11月には中国の習近平国家主席と共同で温室効果ガス削減の目標を公表した。これまで削減に消極的だった両国による共同発表は「電撃的」とも言われ、世界の温暖化交渉に大きなインパクトを与えた。  オバマ大統領が温暖化交渉の表舞台に登場するのは09年末にデンマーク・コペンハーゲンで開かれたCOP15以来だろう。COP15は、12年で終わる京都議定書に代わる新たな温室効果削減の国際的枠組みをつくる重要な会議となるはずだった。オバマ大統領は「ポスト京都」で主導権を握ろうと意気込んで現地に入ったが、先進国と途上国との議論の溝は埋まらないまま時間が経過。  排出大国の中国も米国との交渉を拒み続けた。時間切れと思われた最終局面、オバマ大統領は途上国との直接交渉にこぎつけた。「秘密会合中」だったと言われる途上国と同じテーブルに着けたこと自体が奇跡的だった。  しかしCOP15は、「コペンハーゲン合意に留意」という文書を一部の参加国が作成するにとどまった。土壇場で決裂だけは回避できたことが読み取れる苦渋の表現で、政治宣言の意味合いはなく、COPの正式決定でもない。  グリーンニューディール政策はオバマ大統領の看板政策だった。09年はじめに政策を表明し、同年末のCOP15まで、確かに温暖化交渉のリーダーだった。COPの膠着、景気変調があってトーンダウンしたのは確か。再び表舞台に立ったのは任期中の成果を残したい思いもあるからだろう。  ただし1国1票が国連の基本。いくら超大国であっても1票。EUは28票分(加盟国)分あり、コペンハーゲン以来の「仲間作り」で途上国も票数は多い。米国の交渉術、オバマ大統領のスピーチもCOP21の注目だ。

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