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京セラが年100億円を投じるDX戦略の中身

京セラはデジタルトランスフォーメーション(DX)を間接部門に拡大する。今後数年間にわたり年100億円以上を投じ、2025年3月期までに本社や自社工場の間接部門などを対象に業務のデジタル化を進める。今後、定年退職など自然減による労働力不足が見込まれる。DXによる現場改革で現状比3割程度の業務効率の改善を目指し、人手不足に対応する。

京セラは、従業員の高齢化や若年層の人材確保難などを背景に、製造部門において、生産性倍増計画を掲げ、ロボットや人工知能(AI)の技術を積極的に導入してきた。この動きを20年度から間接部門に本格展開する。

新たな基幹システムを導入し、間接業務を本社で一括管理するなど各拠点に所属する総務・人事・労務・資材人材などを集約する。対象となる人材は、異動などで新たな業務に従事する。これまで間接部門の業務のデジタル化は、各部門が必要に応じてグループ内の情報システム会社に依頼するなど、全社で共通化が図れていない。

今夏から東京事業所(東京都品川区)やみなとみらいリサーチセンター(横浜市)などでテレワークの実証も始めており、システムが統一していないことで不具合が生じる事例もあるという。

京セラの20年3月期の設備投資計画は1200億円。「次年度も減らす考えはない」(谷本秀夫社長)とし、このうち間接部門の業務効率化に「相当の投資を行い、IT基盤を整える」考え。

日刊工業新聞2019年12月29日

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