揺らぐ収益力、証券業界に活路はあるか

野村HDの奥田健太郎グループ共同COO(左)と永井浩二グループCEO(11月)

証券各社が磨いてきた収益力が揺らいでいる。株式市場の取引に伴う委託手数料が減少し、大手証券だけでなく、台頭してきたインターネット証券も苦戦している。資産形成が必要な世代の取り込みなどの課題にも直面する状況で、野村ホールディングス(HD)は2020年春に経営体制を刷新する。SBIホールディングスは地方銀行2行との資本業務提携に踏み切るなど、従来の事業モデルを見直す動きが証券業界に広がっている。 海外事業のテコ入れなどを進めてきた野村HDは奥田健太郎グループ共同最高執行責任者(COO)が、20年4月1日付でグループ最高経営責任者(CEO)に就任する。金融サービスのデジタル化など、業界の構造変化への対応は待ったなしだ。「外(海外事業)の良さを中(日本)に持ってくることで、野村グループを強くする」(奥田共同COO)方針。営業部門の落ち込みに歯止めをかける戦略が求められる。 委託手数料などが収益源の事業モデルの転換に伴って、auカブコム証券(旧カブドットコム証券)はKDDIからの出資を背景に、信用取引の手数料撤廃などの方針を打ち出している。低下してきた手数料の無料化をめぐる競争を仕掛けた格好だ。ただネット証券各社にとって、ネットの利便性を生かして投資家の裾野を拡大する成長は頭打ちをなりつつある。手数料に代わる収益源を見いだすことが急務だ。 こうした業界の現状を打破する経営判断を下したのがSBIHDだ。地銀が集う連合構想を掲げ、島根銀行と福島銀行との資本業務提携を結んだ。さらにSBIや金融機関などが出資する新会社を20年3月末をめどに設立する予定。「互助の精神を持つ」(北尾吉孝SBIHD社長)ことで、競争力の強化を狙う。 厳しい経営環境だからこそ、各社には株式市場の動向に左右されにくくする収益戦略が問われてくる。業界の勢力図にも影響を与えそうだ。(取材・孝志勇輔)

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