2019年産業界10大ニュース 全身で感じる新時代の“風”

天皇、皇后両陛下(15日午後、皇居・半蔵門=代表撮影)

日刊工業新聞社は2019年の10大ニュースを選定した。1位には前天皇のご退位と新天皇のご即位、平成から令和へ元号が変わったことを選んだ。19年は引き続き米中摩擦や日韓関係の悪化、災害多発が問題になった。また国内外でのM&A(合併・買収)やグループの大規模な再編など、企業の積極的な動きも目立った。 4月30日に天皇陛下が退位して上皇となり、翌5月1日に皇太子さまが新天皇に即位。元号が平成から「令和」となった。最初の元号である大化から数えて248番目であり、万葉集を典拠とする。10月には国内外の2000人が参列し、「即位礼正殿の儀」が行われた。NHKの調査では多くの人が「平成は戦争がなく平和な時代」とのイメージを持っているという。令和が平和で幸せな時代になることが期待される。 10月からは消費税率が8%から10%に引き上げられた。1989年4月に税率3%で初導入された消費税は、約30年かけて2ケタの税率になった。今回は食品と新聞を対象にした「軽減税率」も合わせて導入した。店内飲食と持ち帰りで税率が変わるなど分かりづらいとの指摘も多い。引き上げ率がわずかなため駆け込み需要や反動減も少ないとされていたが、実際には小売りや住宅などで変動が出ており、今後の影響に注視が必要だ。 旭化成名誉フェローの吉野彰氏(71)がノーベル化学賞を受賞した。日本人(米国籍取得者を含む)のノーベル賞受賞は27人目。社会に変革をもたらしたリチウムイオン二次電池の開発への貢献が評価された。その影響の大きさから、かねて受賞が噂されていたが、85年の基本概念確立から34年を経ての快挙となった。いつまで研究に取り組むかとの問いに「永遠」と答えるなど、今後も研究活動に取り組む構えだ。 2019年は米中摩擦が激化した1年だった。トランプ米大統領による中国を相手にした関税引き上げを武器とする交渉戦略により、世界経済の減速が現実化した。米国の2国間交渉主義により、中国以外の各国ともあつれきが発生。パリ協定や軍縮条約からの離脱など、経済に留まらない波乱を引き起こした。米国内では弾劾裁判にさらされて批判を受けるトランプ米大統領だが、20年は米大統領選もあり、まだまだ波乱が続きそうだ。 9月に台風15号、10月に台風19号が日本に上陸。関東、甲信、東北に甚大な被害を与えた。各地で洪水や住宅への浸水など猛威を振るい、千葉県では長期停電を引き起こした。工場の操業停止やサプライチェーンへの打撃など、産業界も大きな損害を受けた。近年、相次いでいる大規模な自然災害に、国は巨額の予算を投じて国土強靱(きょうじん)化を進める方針。産業界でも拠点の立地を見直す動きなどが出ている。 世界で初めて小惑星の物質を地球に持ち帰った宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「はやぶさ」の後継機「はやぶさ2」が2月22日、地球から2億8000万キロメートル離れたリュウグウへの着陸に成功した。探査ローバーの投下や試料採取などのミッションを終え、11月にリュウグウから離脱。12月にメーンエンジンを使い、本格的な地球帰還飛行を開始した。順調にいけば地球への帰還は2020年末となる予定だ。 ソフトバンクグループのM&A戦略が止まらない。1月に米ウィーワークを約6500億円、傘下のZホールディングス(旧ヤフー)がZOZOを約4000億円で買収し、話題をさらった。だが11月にはウィーワークや米配車サービス大手のウーバーといった投資先の企業価値低迷で多額の損失が発生。7―9月期は7000億円の巨額の最終赤字となった。負債額も巨額なだけに、先行きに不透明感が漂う。 日立製作所が事業再編を本格化している。日立化成を昭和電工に約9600億円で、さらに画像診断関連事業を富士フイルムに約1700億円で売却することを発表。デジタルソリューション分野への経営資源の集中を進めている。日立化成は日立金属、旧日立電線(日立金属が吸収合併)とともにグループの“御三家”の一角を担ってきた。その売却は従来の常識にとらわれない構造改革への意気込みを示している。 アサヒグループホールディングス(GHD)は7月、ビール世界最大手のアンハイザー・ブッシュ・インベブ(ベルギー)から豪カールトン&ユナイテッド・ブリュワリーズの買収を発表した。買収額1兆2000億円はアサヒGHDにとって過去最大。カールトンは豪州ビール市場で約45%のシェアを握る。アサヒGHDはインベブから16年にイタリア、17年に東欧のビール事業を買収するなど、グローバル戦略を鮮明にしている。 コンビニ業界ではセブン―イレブン・ジャパンのFC加盟店が人手不足を理由に深夜休業を強行し、本部と対立したことをきっかけに24時間営業問題が表面化。経済産業省が人手不足や長時間労働解消の行動計画策定を要請するなど社会問題化した。各社は実証実験などを通じて時短営業の導入を決断。2020年の元日にはセブン―イレブン、ローソンが休業を容認し、店舗の営業形態の見直しを進めている。

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