GAFAやBATHがいない日本、「分権型エッジAI社会」を目指せ

自由民主主義体制と統制型・権威主義体制は人工知能(AI)化が進む中で、それぞれ性格の異なる監視社会を形成している。この中でわが国は、米国家安全保障局(NSA)やGAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)が集めた国内外のさまざまなデータをベースにした米国型クラウドAI国家でもなく、またBATH(バイドゥ、アリババ、テンセント、ファーウェイ)と政府が集めた同様のデータをベースにした中国型クラウドAI国家でもない、独自のエッジAI国家を目指すべきだ。 情報を一元的に収集・解析・蓄積するのが、クラウド・コンピューティングであり、中央ではなく末端のネットワークで処理するのがエッジ・コンピューティング。わが国は、国家による中央集権的な効率性重視のクラウド型のネットワーク社会ではなく、効率性を担保しつつも地方分権を進め、個人の人権やプライバシーを最大限に尊重してデータを地域、コミュニティーで収集・解析・蓄積するような分散クラウド・エッジAI型のコミュニティーネットワーク社会を目指すべきだと考える。 ここで言う「コミュニティー」にはさまざまな種類があり、都道府県や市町村を基本とする。また、全国146の信用組合の経済圏は地域金融コミュニティーと言え、大学や市民活動を中心としたものも考えられる。さまざまなコミュニティーごとのクラウドやエッジでデータを管理し、処理、利用するのである。現場の端末やセンサーと距離的に近い場所に、機械学習などの処理をこなす小型のサーバー・AIを設置し、またスマホや自律走行車などの端末や、各種センサーを装備した街灯AIがエッジとなり、処理を行った情報や知識をお互いに交換し、完結させる仕組みだ。 コミュニティーの集合体として国家があり、必要な際にだけコミュニティーのデータは国家単位でのその都度一回きりの不可逆的な利用が許されるデータ移動でセキュリティーを担保するようなシステムを作り、権力の乱用に対する市民参加のチェック機関も整備すべきだ。エッジ間でも必要な時にだけネットワークがつながりデータの共有化を行い、コミュニティー間の問題の処理に当たる。 そこは、データを暗号化したまま計算できる秘密計算によるプライバシー保護と、ブロックチェーン(分散型台帳)によるトレーサビリティー保証などで、安心・安全にエッジやクラウド間のデータ流通を実現すべきだろう。一方、AI化に当たってはプライバシーへの配慮、倫理や社会的受容性をかんがみた活用原則と法整備が一層重要となる。 AIは決して万能ではなく、誤った判断もするし、システムの暴走も発生する可能性がある。そのため説明責任と透明性の重視が課題となる。わが国は、自由と民主主義、人権を守り、このような安心安全な人間中心の分散クラウド・エッジAI型のコミュニティーネットワーク社会の普及を進めていくべきだ。 (文=原田泉 国際社会経済研究所<NECグループ>上席研究員)

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