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電車の座席で野菜販売、EV充電スタンド一体型テント

学生のエコデザイン

商品棚のミニチュアと思ったら、奥に緑色の背もたれを発見。よく見ると商品棚は電車の座席にセットされている。工業デザインを学ぶ学生が考えた鉄道の車内販売用の棚だ。停車駅で地元の野菜を陳列し、乗客に買ってもらう。食材の廃棄や輸送を少なくして環境負荷を抑え、沿線の地域活性化にも貢献するアイデアだ。

日本インダストリアルデザイナー協会(東京都港区)が学生から募集した「エコデザイン作品」の展示会だ。電気自動車(EV)の充電スタンドと一体化できるテントの模型もあった。災害時にテントを張るとEVの電気で暮らせる。折り畳みの飲料容器はペットボトル削減の提案だ。好きなジュースの粉を購入し、自宅の水で溶かして容器に保存する。

学生を指導する桑沢デザイン研究所(東京都渋谷区)の本田圭吾専任教員は「エコデザインというとリサイクルやリユース(再利用)に範囲が狭くなりがちだが、もっと大きな環境貢献ができるはずだ」と指摘する。また、企業に所属すると効率が優先され、思い切ったデザインもできなくなる。そこで学生のうちに視野を広げようと展示会を開いている。作品を見る限り、自由な発想から社会を変える可能性を感じた。

日刊工業新聞2019年12月20日

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