普段は見えないけれど…世界中で活躍する「産業ロボット」とは?

易しすぎる!ロボット入門 #2 産業ロボット基礎の基礎

「ロボット」と聞くと、「ドラえもん」や「ペッパー」を想像する方が多いのではないでしょうか。しかし18日に開幕する「2019国際ロボット展」の会場を歩いていると、普段は見られない無骨なロボットをたくさん見ることができます。彼らのような「産業用ロボット」とは何か、どのような働きをしているのかを紹介します。 産業ロボットは主に工場で働くロボットです。工場には産業機械が多く設置されていますが、産業ロボットはプログラミングによって作業内容を変えられることや、ある程度自動制御が可能などの違いがあります。人で行っていた作業をロボットに置き換えることで、より高速・高精度・連続して行うことができます。また、複数台や他の機器と協調することで、さらに作業効率を上げることも可能です。 産業ロボットは基本的にロボット本体と動きを指示・制御するためのコントローラーがセットです。主にモーター(サーボモーター)を使って動きます。ロボットには人間の手足のように関節がいくつかあり、その数に応じて可動域が変わります。関節が多いほど、自由で複雑な動きが可能になりますが、その分制御が難しくなります。  ロボットの先端には作業内容に応じたハンドを取り付けます。これにより、工場で機械や自動車、さらにはロボット自身を組み立て、溶接や塗装、食品など細かくやわらかいものを掴むことなども可能です。 ただし、ロボットは置いてすぐに希望の動きができるわけではありません。ロボットに必要な動き(プログラミング)を指示するための「ティーチング」が必要です。最近ではロボットを直接動かして指示を登録するなど、簡便化するシステムも登場しています。また、画像認識や各種センサなどを組み合わせ、より複雑な動きが可能になってきています。 近年では工場などで人とロボットが協働する場面を想定し、人が近づくと自動で停止する、ぶつかっても痛くないなどの安全対策が取られたロボットも登場しています。 産業ロボットにはいくつかの種類があります。設置場所や用途に合わせて使い分けをしています。ここでは単純な構造のものから紹介します。 ・垂直多関節ロボット  もっとも一般的な産業用ロボットです。土台の回転と垂直方向にアームが動きます。3次元に動くための6軸機構が主力です。机に乗るくらいの小型サイズや車を持ち上げるくらいの大型サイズ、素材や形もさまざまです。組み立て、塗装、ピッキングなど幅広い用途に活用されています。 ・水平多関節ロボット(スカラロボット) アームが水平および垂直に動きます。動きによるブレも少なく、垂直に動くアームの先に付けるハンドにより、細かく自由度が高い作業も可能です。高速な組み立て作業などでも使用されています。2台をつなげ、人間の両腕のように協調作業を行うロボットもあります。 ・パラレルリンクロボット  複数の軸によって並列に動作するパラレルメカニズムを用いて、ハンド部分を操作します。高精度・高速で動かすことが可能で、ベルトコンベヤー上を流れてくるモノを種類別にピッキングすることなどが得意です。 ・直角座標ロボット  上下や左右など、直線的な移動のみを行うシンプルなロボットです。さらに旋回などを組み合わせると、より複雑な動きが可能になります。 主なメーカーの特徴とカラーを紹介します。 【4大メーカー】 ・ファナック(日本) 多関節型では日本トップ。溶接、塗装、パレタイジングなど大小さまざまなロボットを扱う。カラーは黄色に赤いロゴ。 ・安川電機(日本) アーク溶接、スポット溶接、塗装、パレタイジングなどさまざまなロボットを開発販売する総合メーカー。カラーは青に白いロゴ。 ・ABB(スイス) 電機から重工業までの総合メーカー。丸みをおびた双腕ロボットも特徴的。カラーは白に赤いロゴ。 ・KUKA(ドイツ) 機器とシステムのメーカー。2016年に中国の家電大手「美的集団(マイディア・グループ)」に買収された。カラーはオレンジに黒いロゴ。 【そのほかの日本の主なメーカー】 ・川崎重工業 産業用ロボットでは40年以上の歴史を持つ。カラーは白にロゴは赤。 ・不二越 溶接や塗装など自動車分野に強い。カラーは白にロゴは赤。「NACHI」と表記されている。 ・三菱電機 FAでは世界トップ。カラーは白にロゴは黒と赤。 ・東芝機械 垂直、水平多関節ロボットなど多彩なラインアップ。カラーは白にロゴは赤と青。 ・ダイヘン 大阪の重電メーカー。溶接が強み。カラーは白にロゴは青。 ・デンソーウェーブ トヨタグループを支える会社のひとつ。つるりとしたフォルムのロボットが多い。カラーは白にロゴは赤。 ・ヤマハ発動機 アクチュエータに強み。カラーは白か銀でロゴは赤。 ここで紹介した以外にもさまざまなメーカーが出展しています。ぜひ会場で実際にロボットたちの動きを見てみてください。 日本の産業用ロボット業界は90年代初頭のバブル経済崩壊、00年以降のIT(情報技術)バブルの崩壊、08年のリーマン・ショックと、三度の大きな景気後退に直面しました。特にリーマン・ショック後の09年のロボットの出荷額は前年比54%減と大きく落ち込み、平成に入り最低の水準まで低下しました。  しかし10年のロボット出荷額は前年比85%増と急速に回復。全体に占める輸出額の割合は09年の59%から10年に73%となり、日本のロボット産業が海外市場に大きく依存する結果となりました。 産業ロボット業界は中長期では高水準の成長が続く見通しです。IFRはロボットの世界販売台数が21年まで年平均14%で伸びると予測しています。自動車や電機・電子産業での更新需要に加え、金属加工や食品産業といった、これまであまりロボットの活用が進んでこなかった分野での用途の拡大が見込まれます。 「2019国際ロボット展」特設サイト <お知らせ> 国際ロボット展公式アプリが登場! 参考文献 日本ロボット工業会 監修、日刊工業新聞社、2015年

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