乱戦の電気・ガス販売競争、勝ち組はどこ?

東京ガスはガス・電力小売りや生活サービスを手がける新会社を設立した

エネルギー大手による家庭向け電気・ガスの販売競争が激しさを増している。大手電力系の新電力は首都圏でのサービスメニューを拡充し、東京電力エナジーパートナー(EP)からの乗り換え提案を強化。東電EPは電気の全国展開やガス販売で挽回する。2016年の電力小売り全面自由化後、電力大手から顧客を奪ってきたガス大手は、17年のガス小売り全面自由化から時間がたち、ガスの顧客流出が目立つなど乱戦模様だ。(取材・戸村智幸) 地域ごとに市場を分けていた大手電力は自由化後、子会社を通じて首都圏に進出。東電EPと激しく争う。中部電力と大阪ガスは18年に折半出資でCDエナジーダイレクト(東京都中央区)を設立し、首都圏で電力・ガス小売りを展開。合計10万件以上の顧客を獲得した。10月には米アマゾンの有料会員サービス「アマゾンプライム」込みなどの新プランを提供し、テレビCMも開始。小津慎治社長は「メニューを多様化し、CMで認知度を上げる」と狙いを説く。 迎え撃つ東電EPは16年の中部と関西、19年8月の東北(新潟県を含む)、九州に続き、11月には北海道、北陸、中国、四国での販売を開始。沖縄県を除く全国展開に乗り出した。東京電力ホールディングス(HD)の経営再建には小売り事業の拡大が不可欠。再建計画で掲げていた全国展開を実行に移した。 ただ、首都圏以外での契約件数は9月末時点で約6万件にとどまる。当面は、首都圏の契約者が転勤などで各エリアに引っ越す際、対応プランに乗り換えてもらうのが主要な販路とみており、大攻勢とまでは言えない。東京ガス、通信、鉄道など他業界からの新規参入にも攻め込まれ、東電EPは7月時点で電力量ベースのシェアの約2割を奪われた。 一方で、東電EPのガス契約獲得は順調。7―9月に電気とガスのセット契約割引の販売促進策を実施し、提携先と卸を除く自社単独の契約者数は6月末の約71万件から9月末に約87万件に伸びた。当面の目標の100万件早期達成を目指す。 石油元売り大手も電力・ガス小売りに注力する。JXTGエネルギーは4月に関西、9月に中部、11月に東北と販売エリアを拡大。20年6月までに沖縄を除く全国に展開する。ガスは2月に首都圏で販売を始めた。 東ガスは供給中の電気契約件数が9月末時点で約208万件に達し、19年度末の目標240万件の達成を視野に入れる。電気が順調な一方で、9月末時点のガス料金請求対象件数は18年9月末より68万件減少し、電気の供給増66万件を上回った。大ガスは9月末時点の供給件数で、1年間の電気獲得分がガス減少分を上回ったが、約6000件と僅差だ。 東ガスは3日に新会社を設立。20年春に電力・ガス小売りを始める。笹山晋一常務執行役員は「デジタルを活用して新しい顧客を開拓する」としている。 首都圏など地域を超えた競争と、エネルギーの垣根を超えた競争が激しさを増している。各社にとっては付加価値のある提案ができるかが問われている。

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