CO2年100万トン削減へ、世界初の試みが新潟で始まった

CO2と水素からメタンを製造するメタネーション設備(国際帝石越路原プラント)

国際石油開発帝石は長岡鉱場越路原プラント(新潟県長岡市)で、二酸化炭素(CO2)を原料にメタンを製造する「メタネーション」技術の実証実験を始めた。生産時に発生したCO2を回収し、燃料化する世界初の試みという。地球温暖化を招くCO2を資源として有効利用する「カーボンリサイクル」は、国が有望な脱炭素技術として開発を推進しており、実用化への期待が高まる。 越路原プラントには、配管が縦横に走る天然ガス生産設備がそびえ立つ。周辺は水田地帯だが、地下には国内4割の天然ガス生産量を誇る南長岡ガス田がある。事業所内のメタネーション設備は高さ10メートル、正面の幅20メートル。近づいても大きな稼働音はしない。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業として国際帝石と日立造船が建設した。 地下のガスには6%のCO2が含まれる。ガス生産設備で分離したCO2を回収し、メタネーション設備で水素と合成してメタンを製造する。水素は水を電気分解して供給する。メタンの成分は天然ガスとほぼ同じであり、家庭や工場の既存機器で都市ガスと同じように扱える。次世代エネルギーとして注目される水素と違い、既存のパイプラインやタンクローリーでの輸送も可能だ。精製・分離後に大気へ捨てているCO2をメタンにして燃料利用すれば、ガス田に眠る天然ガスの消費量を抑制できる。 国際帝石の再生可能エネルギー・電力事業本部の石井義朗本部長は「“グリーンメタン”で置き換えられる」と語る。風力発電などの再生エネ電気で生成した水素を使えば、製造したメタンはCO2排出の少ないエネルギーとして見なせるという。実証では再生エネを活用しないが、CO2フリー(排出ゼロ)の水素製造は確立されている。 メタネーション技術は、CO2を大量排出する火力発電所にも適用できる。ただし、大型化と建設費低減が課題だ。今回の実証では大規模化しやすく、コスト低減も期待できるプレート型反応器を試す。反応器は触媒によってCO2と水素を合成する装置。一度、反応が始まると高熱が発生し、その熱でメタンを作り続ける。一方の触媒は高熱にさらされて劣化する。プレート型は冷却水が行き渡る構造なので、高熱から触媒を保護できる。 運転中のメタネーション設備は1時間に8立方メートルのメタンを製造し、家庭180世帯のガス需要を賄える。CO2削減効果は年126トン程度だ。大型化すると越路原プラントではメタンを同1万立方メートル近く生産可能という。NEDOは2030年ごろ、メタンを同6万立方メートル製造し、CO2を年100万トン削減できる設備の商用運転を目指す。 メタネーション以外にもCO2を化学品の材料にしたり、コンクリートに閉じ込めたりするカーボンリサイクル(CR)技術の研究が盛んだ。NEDOの田中秀明環境部長が「政府内でもCRを大事な技術に位置付けた」と語るように、経済産業省は20年度概算要求でCR関連に約500億円を計上した。

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