高精度3D測定を可能にする低コストチップ

スマホに自動運転車に

撮像した1セント硬貨の3Dイメージ(Credit: Ali Hajimiri/Caltech)

 スマートフォンを取り出して気に入った物体の3次元(3D)写真を撮り、データを3Dプリンターに送信してそっくりの立体コピーを作り出す。そんな夢物語のような芸当が近い将来、可能になるかもしれない。  カリフォルニア工科大学(カルテック)のアリ・ハジミリ教授らは、超小型でありながら、数十マイクロメートル(マイクロは100分の1)の高い解像度で対象物の寸法や凹凸を測定できる3D撮像デバイスを開発した。これまでの高精度3D撮像装置が高価だったのに比べ、1平方ミリメートルにも満たない小さなシリコンチップのため、大幅なコスト低減が期待できるという。  通常、カメラで物体を撮影する場合には光の強度しか記録されず、カメラから物体までの距離はわからない。そこで、このデバイスでは光源から出た光を、時間的に一定な周波数と位相を持つ「コヒーレント」な二つの光に分け、物体に当たって反射した一方の光と、元の光とを再結合。光の干渉具合から計算によって各ポイントでの距離を求め、全体として立体的な寸法を得る仕組みとした。  概念実証試験のため、研究チームではイメージセンサーの役割を果たす16個の検出器を組み込んだ300マイクロメートル角のチップを作製。50センチメートルの距離から1セント硬貨の表面を撮影した。ただ、チップに比べて物体のほうがかなり大きいため、実際には硬貨を水平移動させながら順繰り撮影し、深さ方向で15マイクロメートル、水平方向で50マイクロメートルの解像度の立体データが得られた。こうした原理を持つ3Dイメージセンサーは、実用化に向けたスケールアップも容易と見られ、スマートフォン以外に、物体や人にぶつからないよう周囲との距離を常時センシングしている自動運転車や、ロボットなどへの応用が想定される。

続きを読む

特集