パナソニックやIHIなど参加…経産省の新会合でESG投資呼び込む

経済産業省は、日本を代表するモノづくり企業がESG(環境・社会・企業統治)経営のあり方を議論する会合を立ち上げる。パナソニックやIHIなど10社の経営幹部が参加する。国連の持続可能な開発目標(SDGs)の概念を取り込み、ESG投資をいかに呼び込むかについて話し合う。ESG経営の先進企業や投資機関から講師を招き、2019年度内に3回程度開催する。 発足するのは「ものづくり産業におけるESGに係る勉強会」。製造業の各業界に参加を呼びかけ、主要な企業を集めた。会合では講師が先進的な取り組みや投資環境、海外情勢などを説明。参加企業も自社の事例を紹介し知見を深める。主要な製造業が一堂に会し、モノづくりに関わるESGを議論するのは珍しい。 近年、欧米の金融機関や機関投資家を中心にESGの概念が普及し、温暖化対策への積極性などを企業投資の判断基準にする動きが広がっている。化石燃料に依存するプロジェクトは資金調達が困難になりつつあり、これに関わる製造業も製品・部材供給などのビジネスが縮小する懸念がある。会合では、こうした情勢の変化を認識し、ESGの考え方を議論して経営判断に生かしてもらう。 参加企業はパナソニック、IHIのほか、JFEホールディングス、三井化学、富士フイルム、日野自動車、千代田化工建設、古河電気工業、日本特殊陶業、荏原の計10社。 今回の会合は、モノづくりに焦点を当ててESG(環境・社会・企業統治)を議論するという点で意義がある。今後、ESG投資の普及に伴い、気候変動対策に逆行するプロジェクトが縮小し、再生エネルギーや電気自動車などのビジネスが一段と拡大することが予想される。日本の製造業も事業環境の変化を先取りし、経営戦略に反映させる必要がある。 欧米など世界のESG投資残高は2018年に30兆ドル(約3300兆円)を突破し、年率10%超の勢いで成長している。環境事業に資金を使うことを目的とした債券「グリーンボンド(環境債)」などが急増する一方、石炭火力発電の新規計画に対する投融資が相次いで中断している。金融市場から変革を求める風圧は強まる一方で、これに及び腰の企業は淘汰(とうた)されかねない。 日本の製造業は気候変動問題に熱心に取り組んできた経緯がある。環境省の温室効果ガスの排出状況によると、家庭部門や運輸部門の二酸化炭素(CO2)排出量は90年度に比べて増加傾向にあるのに対し、産業部門は減少している。ただ、現在は脱炭素社会への移行に伴い、化石燃料に関わるビジネスそのものが縮小し始めており、自社の省エネ対策だけでは対応が困難になりつつある。 今回の会合には副社長や取締役らが出席する。情報共有のみに終わらせず、官民が連携して製造業におけるESG経営を推進する指針や政策の策定につなげてもらいたい。(取材=編集委員・敷田寛明)

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