オムロンが”3つの足”で実現する「便利な田舎」とは

人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)活用で、“不便な田舎”という固定観念を払拭(ふっしょく)し「便利な田舎」を目指す―。オムロンと京都府舞鶴市、日本交通(大阪市西区)の3者で、同市の移動不便地域を対象に「共生型MaaS(乗り物のサービス化)」の実証を行う。バス、タクシーと、住民のマイカー送迎を組み合わせ、目的地まで最適な移動手段を国内で初めて提供。地方の公共交通維持が厳しさを増す中、住民同士のマイカー送迎を加えることで持続可能な「地域の足」のあり方を探る。 実証期間は2020年4―6月までの3カ月間。路線バスがなかったり、複数の谷間に住居が点在したりする地域が対象だ。住民の利便性が向上するかどうかと、交通事業者の担い手不足を解決する打ち手になるかを検証する。 3者で設置する運営協議会が主体となってサービスを提供。対象地域から、サービス利用者と、住民ドライバーをそれぞれ200人ずつ募る。 オムロンが三つの移動手段を結ぶシステムと、スマートフォン向けアプリケーション(応用ソフト)「meemo(ミーモ)」を開発した。利用者が同アプリで経路検索すると「徒歩+バス」、「タクシー」、「住民同士の送迎+バス」、「バス+電車」などの多様な移動手段が示される。 住民同士の送迎を選ぶと、複数の住民ドライバーを迎えに行くまでの推定時間などを含めて表示。自分に合った最適移動手段を選択できる仕組みだ。 登録ドライバーには同協議会が実費のガソリン代を払う。運送対価は無償とし、ドライバーには感謝のしるしとして独自ポイントを付与。たまると、同市から表彰やイベントの優待などが受けられる。地域住民同士が互いに助けあう地域共生社会につなげたい考え。 事業化時期は、実証結果を踏まえて検討する。舞鶴市と同様の課題を抱えるほかの地域への展開も想定している。今回は交通アプリだが、住民のコミュニティー希薄化などを踏まえ、「子育てや家事などにもアプリを広げていきたい」(細井俊夫オムロン執行役員常務)考えだ。 MaaSの実証は全国各地で盛んだが、緑ナンバー(事業用)のバスとタクシーに、白ナンバー(自家用)のマイカー送迎が加わるのが舞鶴市の特徴だ。京都北部のタクシー運転手の半分近くが70歳以上。配車オペレーターや運行管理者も不足しており、5―10年後を想定すると現状維持は厳しい。 現実を踏まえ、澤志郎日本交通社長は「このままでは地域の足が崩壊する。緑ナンバーと白ナンバーの既存の枠組みにとらわれるべきではない」と、一歩踏み込んだ。(京都編集委員・松中康雄)

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