業績けん引役に決め手欠く電子部品業界、光明は再生エネか

電子部品業界は、次の業績けん引役の決め手に欠く踊り場にさしかかっている。自動車市場の減速と、スマートフォンを中心とする第5世代通信(5G)需要がまだ本格化・顕在化していないためだ。安定収益源である産業機器向けも販売は振るわない。こうした中、洋上風力発電用部品など再生可能エネルギー市場向けで業績を伸ばす企業や今後に期待する企業が出ている。(取材・山谷逸平) タムラ製作所は産業機械市場の回復の遅れなどが影響し、2020年3月期連結業績予想を下方修正した。だがこの中で、エネルギー市場向けが大半を占める大型トランス・リアクターが売り上げを着実に伸ばしている。浅田昌弘社長は「特に今は(洋上)風力発電向けで製品の引き合いや受注が入っている」とし、欧米向けで間接水冷、直接水冷方式ともに販売が好調。電子部品関連の製品別売上高構成比ではまだ1割に満たないが「今後、(引き合いや受注を)売り上げや利益に結びつけていく」(浅田社長)としており、20年3月期以降も伸長する見通しだ。 市況回復期待 TDKは二次電池をはじめ、スマートフォン向けの販売が拡大しているものの、自動車生産台数の減少を受け、車市場向けの販売が低迷。産業機器市場向けも市況環境の悪化を受け需要が低調だ。ただ、産業機器市場向けに含まれる欧米を中心とした洋上風力発電用モーター向けでは、今後風力発電の大型化に伴い発電効率を上げるために、マグネットの使用量がさらに増えるとみて、市況の回復に期待している。 日本ケミコンも再生可能エネルギー分野の今後の需要に期待を寄せる。同社は市場拡大が期待される5分野を「戦略5市場」と呼んでいる。このうち「新エネルギー市場」は売上高構成比が19年3月期の3%から20年3月期に5%になると予測。17年には太陽光発電や風力発電用のインバーターを想定した定格電圧600ボルトの大型アルミ電解コンデンサーを量産化した。今後、より長寿命で耐久性の高い製品を開発して需要を取り込む。 案件刈り取る 富士経済(東京都中央区)が16年12月に発表した陸上と洋上風力発電システムの世界市場調査によれば、30年の洋上システムの世界市場(新設)は、ドイツで稼働案件が集中した15年比約4・9倍の3兆2610億円になる見通し。 洋上風力発電は1サイトの開発に10年かかるとされるが、景況感の悪化で企業の投資意欲が低下している今、電子部品各社が得意分野で案件を着実に刈り取ることで、近い将来の業績に寄与しそうだ。

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