「鉄道×5G」、最初に恩恵があるのは改札!?

JR各社はキーラーサービス探る、タッチレス化視野

JR東日本はミリ波を使ったタッチレスゲートを試作している

 10月末、世界最大の鉄道技術に関する国際会議「世界鉄道研究会議(WCRR)」が都内で開かれた。第5世代通信(5G)活用は旬な話題。いずれ、車両や設備などのIoT(モノのインターネット)化や鉄道におけるデジタル化のカギを握るとみられている。  一方、欧州からの参加者は「標準化が欠かせない」と指摘した。国境を越えて相互に乗り入れる環境には仕様の統一が必須だ。とはいえ、5Gは応用分野が固まる前の段階。鉄道総合技術研究所(鉄道総研)の渡辺郁夫専務理事は「共通の姿を考え、オープンイノベーションで開発速度を上げることが必要だ」と協業を呼びかけた。  国内ではJR各社が各通信事業者(キャリア)の実験に協力。高速で走行する列車と地上との間で、ミリ波に近い28ギガヘルツ帯の通信安定性や基地局切り替え(ハンドオーバー)などを検証し、商用化への課題を洗い出してきた。JR西日本の来島達夫社長は「試験結果を参考に、現実的な活用法を考えたい」と話すが、現時点で5Gでなければ実現できない“キラーコンテンツ”は見つかっていない。  鉄道では古くから高速・大容量のミリ波に関する研究が進められてきた。JR東海は東海道新幹線車両が基地に入場する際、車両データをミリ波で地上に送信。ビッグデータ(大量データ)を状態基準保全(CBM)につなげている。5Gはメンテナンスを改革する常時状態監視に適用可能性がありそうだ。  JR東日本は山手線車両「E235系」に列車情報管理システム「INTEROS」を搭載し、ドアや空調など車載機器のデータを集約してWiMAXで地上に送信している。5Gでは映像データも容易に伝送可能になるものの、やみくもにデータを集めても意味はなく、検討が必要だ。  将来、多数の列車を遠隔操縦して、都市鉄道を最適に運行するには、5Gのような通信インフラが不可欠だ。ただ、これを実現するにはシステム刷新、人工知能(AI)活用や安全防護(フェイルセーフ)の仕組みなどが必要となり、5Gで一足飛びには行かない。  サービス分野では、改札口のタッチレスゲート化が視野に入る。特定方向に電波を飛ばすビームフォーミング技術を使い、個人を認証するスマートフォンをカバンに入れたままで改札を通り抜ける。だが、ある通信事業者の技術者は「密集地での共連れ問題が解消できていない」と明かす。5Gを使いこなす技術も、まだ研究半ばだ。 (取材・小林広幸) <関連記事>

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