今治造船とJMUが資本提携へ、三菱重工社長は撤退否定

苦境の造船業界、さらなる再編で活路

JMUの呉事業所

 三菱重工業の泉沢清次社長は造船事業について、韓国や中国などとの競争環境は厳しいものの「何とか(事業を)進めたいと考えている」と撤退を否定。フェリーや貨客船、巡視船など得意分野の高密度艤装(ぎそう)船と環境規制を見据えたエンジニアリング、硫黄酸化物(SOx)排出規制対応の排ガス浄化装置(スクラバー)などで差別化し、生き残りを図る考えを示した。  造船業界の苦境が鮮明になってきた。三井E&Sホールディングスが2020年3月期連結業績予想で880億円の当期赤字に転落。従業員1000人規模の配置転換などのリストラ策を発表した。船舶建造量上位の韓国と中国では大手同士が合併に動いており、日本の出遅れが目立つ。まずは自社の事業の選択と集中を進め、同時に再編へ動きを加速すべき時だ。  三井E&S不振の要因は、インドネシアの火力発電所でのずさんな工事管理で大幅な費用が発生したこと。ただその底流には造船事業の長期の低迷がある。すでに三菱重工業や川崎重工業など、かつての名門造船会社も造船事業比率は大幅に低下し、細々と継続している。  国内造船の苦境は船価が高い液化天然ガス(LNG)運搬船などの注文を韓国、中国に奪われていることにある。韓国は公的金融支援を背景に安値で受注を獲得、量産メリットでシェアを奪っている。日本政府は世界貿易機関(WTO)に、補助金協定違反で韓国を提訴しているが、解決には数年を要する。  中国では国内1位の中国船舶工業集団(CSSC)と2位の中国船舶重工集団(CSIC)が経営統合を決め、バラ積み船からコンテナ船、軍用艦艇まで手がける企業が誕生する。共通するのは、再編に国が深く関わっていることだ。  日本では13年にジャパンマリンユナイテッドが誕生して以来、大型再編は起きていない。川重と三井造船(現三井E&S)の経営統合話もあったが頓挫した。  その一方で国内建造量トップの今治造船は、造船不況時に近隣の造船会社を買収、輸送費のかからない強固な“瀬戸内サプライチェーン”網を築くとともに、同型船の連続建造で工場同士を競わせる生産方法を採用した。工場閉鎖が難しい場合はこうした生き方も参考になる。  国はこうした民間主導の再編を見守ると同時に、次世代船や省力化技術などで支援が不可欠だ。中韓企業の攻勢は政府支援があってこそ。公正競争できる舞台づくりも求められる。

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