アサヒ、世界規模でサプライチェーンマネジメント改革

「『ONE Asahi』の考え方が共有化できてきた」。アサヒグループホールディングス(GHD)取締役兼執行役員の辺見裕は欧州各国などのサプライチェーンマネジメント(SCM)担当役員と2016年頃から会合を重ねて実感を持った。当初は思想、ポリシー、技術、経営指標などが異なり侃々諤々(かんかんがくがく)の議論だったという。それでも「現場の管理プロセスは似ている」と感じ、「日本の良いところを他に導入する一方で、欧州の技術を日本で活用すること」を進める。 SCMの中では「調達」が最も顕著にシナジーを発揮できる分野になりそうだ。対象になるのはビール原料の麦芽、ホップ、果汁、添加剤。この他にPETボトル原料のレジンやアルミ缶なども含む。PETボトルは日本では飲料用だが、欧州ではPETボトル入りビールが販売されている。これらをマスボリュームによる共同購入で単価を下げるほかに、PETボトル容器や缶などの包装資材の軽量化を進める。 19―21年の中期経営方針では収益構造改革による効率化効果で300億円以上を目指している。「調達分野でこのうちの半分を実現する方針。共同調達などの変動費の削減で約120億円分を見込む。残りを間接材の固定費削減でカバーする」と辺見は自信をのぞかせる。 後の150億円分については生産と物流の合理化で捻出する計画だ。「物流は“地産地消”の考え方に沿って、できるだけ『運ばない物流』を進める」と辺見は戦略を明かす。この一環でアサヒビール名古屋工場(名古屋市守山区)にアサヒ飲料の清涼飲料の製造ラインとビール類を含めた大型の物流倉庫を21年に稼働させることを決めた。手薄だった中部エリアの供給能力を高めるとともに、外部活用だった物流倉庫を自前に転換する試み。 また、英国、オランダ、イタリアなど欧州8カ所の生産拠点の生産・物流で相互活用の取り組みが可能とみる。これも構造改革の一環として提案する考えだ。(敬称略)

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