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自動運転時代へ「ランプ」の研究開発が忙しい

小糸製作所、スマート街路灯など実用化へ
自動運転時代へ「ランプ」の研究開発が忙しい

光で路面に文字や図などを表示する路面描画ランプ

小糸製作所は次世代のランプ商品群を拡充する。4輪車向け「路面描画ランプ」や、「スマート街路灯」などを2020年代前半をめどに実用化する計画だ。ランプ技術を生かした安全や社会インフラに寄与する製品開発に取り組む。自動運転などの進展に合わせて、光で図形などを指し示す「コミュニケーションランプ」などランプの役割が多様化していくとみており、研究開発を急ぐ。(取材・山岸渉)

「将来の自動運転を見据え、ADAS(先進運転支援システム)の開発を進めていく」。東祐司執行役員技術本部副本部長はこう意気込む。自動運転が進む中で運転者と歩行者との意思疎通を高め、安全性を確保するために、小糸製作所が注目するのが路面描画ランプだ。対向車とのすれ違い時に車両の車幅を路面に映す。災害時には光で地図を表示し、避難所へ誘導する機能を想定する。まず21―22年頃に欧州でコミュニケーションランプが法制化される動きがあるといい、時期を見極めて実用化を目指す。

周囲監視センサーや路面描画の機能を持つスマート街路灯も次世代対応製品として開発を進める。人の動きや距離を認識できるようにし、車両とその情報も共有できるようにする、社会インフラにも貢献できるシステムを見込む。

傘下のコイト電工(静岡県長泉町)と街路灯や信号機システムとしての実証実験に取り組んでおり、23年の実用化を目指す。コイト電工は街路灯が国内約1割、信号機で同約3割のシェアを占めており、規模のメリットを生かしつつ、スマート社会の進展に合わせて提案を進める考えだ。

小糸製作所は次世代ヘッドランプの研究開発も加速化している。少ない発光ダイオード(LED)で高精度な配光ができる世界初のヘッドランプシステム「ブレードスキャンADB(配光可変ヘッドランプ)」を開発し、トヨタ自動車の高級車ブランド「レクサス」の新型「RX」に採用された。東執行役員は「もっと小型化を進めて大衆車などにも普及させたい」と採用拡大へ意気込む。

そのほか、小型LiDAR(ライダー)を搭載した自動車用ヘッドランプや、2輪車向けのセンサー内蔵ランプなどの開発も進めており、次世代対応に向けて着々と準備を進めている。

実証実験に取り組むスマート街路灯(今年の東京モーターショー)
日刊工業新聞2019年11月28日

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