液晶に続き半導体も撤退、パナソニックはどこへ行く?

パナソニックの津賀一宏社長(同社公式ページより)

 パナソニックは28日、半導体事業から撤退すると発表した。台湾の新唐科技(ヌヴォトン・テクノロジー)に事業子会社の株式や資産を売却する。営業赤字が続く半導体事業では、黒字化に向けて製品開発を強化してきた。しかし米中貿易摩擦の逆風もあり、現状では改善が見込めないと判断。開発力の底上げを図りたいヌヴォトンへの売却を決めた。パナソニックは液晶パネルの生産撤退など、赤字事業の整理を矢継ぎ早に進めている。  半導体事業を担う子会社・パナソニックセミコンダクターソリューションズ(PSCS、京都府長岡京市)の全株式や、海外の関係設備などの資産をヌヴォトンに売却する。売却額は2億5000万ドル(約270億円)で、譲渡予定日は2020年6月1日。  対象となる従業員は国内約2300人、海外約100人。雇用は維持する。PSCSが49%、イスラエルの半導体受託製造大手タワーセミコンダクターが51%出資する合弁会社で、生産を担うパナソニック・タワージャズセミコンダクター(TPSCo、富山県魚津市)についても、富山県や新潟県にある3カ所の生産拠点や従業員の雇用が維持される。  パナソニックは57年、蘭フィリップスと合弁で半導体の生産を始めた。最盛期の03年頃は5000億円弱の事業規模だった。音響・映像(AV)機器向けで台湾や韓国メーカーとの競争が激化。収益性の高い車載や産業機器分野への転換を図ってきたが、一部事業の譲渡などを進めてきたこともあり、現在の事業規模は約1000億円に縮小している。PSCSの19年3月期の営業損益は235億円の赤字だった。  パナソニックは収益力向上のため赤字事業の撲滅を掲げる。21年度までに400億円分を“止血”する考え。液晶パネル事業についても21日、目標だった19年度中の黒字化が達成できないとし、21年をめどに撤退することを明らかにしている。 日刊工業新聞2019年11月29日 <関連記事>  昨年、10月のパソニックの創業100周年イベント。ファーストリテイリング会長兼社長の柳井正氏が特別講演に登壇、「世界一の自動車会社になる。そういう大きな夢が必要ではないか」と叱咤激励した。パナソニックが今後進む方向性のヒントになる。  松下幸之助さんは大好きな経営者だ。強い志を示した「水道哲学」は、私の経営者としての原点だ。幸之助さんの教えがなければ、今のユニクロ、ファーストリテイリングの成長はない。  「産業人の使命も、水道の水のごとく物資を豊富にかつ廉価に生産提供することである。それによってこの世から貧乏を克服し、人々に幸福をもたらし、楽土を建設することができる」。水道哲学の考え方はファーストリテイリングのミッションに通じるものがある。  幸之助さんの経営者の思想に学び、ユニクロが何をしてきたのかをお話したい。我々グループは、売上高が2兆1300億円。海外ユニクロ事業の売上高は国内ユニクロ事業を超えた。世界3位のアパレル製造小売業となった。ここまで来られたのは、ユニクロが変えた服の概念が世界に受け入れられたからだ。服のカテゴリーを超えて、あらゆる人のための高品質な日常の服。「LifeWear」。我々の目指すのは「服の民主主義」だ。  日本は階級意識が薄く、誰にとっても良い服の基盤がある。日本からの視点で、世界の服の共通項を模索した。それは機能と美意識だ。日本は細部へのこだわりが世界一。そして余計なものをそぎ落とす美意識がある。服という部品を使って自分の姿を組み立てるのは日本ならではの考えだ。ムダのないシンプルで機能的なデザイン。お客様に服を使ってもらえるように徹底的に考えた。  洋服は西洋文化だが、日本の美意識や技術で、服の常識をアジア発で覆したい。これからも時代に合わせて、自ら変化を続けたい。  私を含め、多くの日本人がパナソニックブランドに愛着と誇りを感じている。そんな企業だからこそ、激変する今の時代に果たせる役割は大きい。  私がパナソニックに対して持っている期待を伝えたい。非常識なくらい高い目標を持つこと。こうありたいと思うことが、イノベーションのもとになる。人間が想像することは人間は実現できると私は考えている。非常識に高い目標は、あらゆる変革を必要とする。当社は売上高80億円ぐらいの時から、将来はGAP(ギャップ)を超えて世界一のアパレル製造小売業になる目標をつくった。途方もない目標を本気で目指したから、数々のイノベーションを起こすようになった。  パナソニックは世界に通じる技術とブランド力がある。パナソニックは戦後奇跡の復活を遂げた日本のサクセスストーリーの主人公だ。「これこそ日本だ」というものを描いていただきたい。  津賀さん(津賀一宏パナソニック社長)にお願いがあります。車載電池もいいが、BツーBではパナソニックブランドは輝かない。やはりそこはBツーCだ。アップルやグーグル、世界で輝くブランドはみなBツーC。お客様の生活に根ざした最終製品、それも画期的な製品を届けてこそ、圧倒的な魅力を放つ。世界の人に売れるものを作らないと、大きな夢を描いても、より大きな夢を描いた人に取って代わられる。  幸之助さんは世界一のアントレプレナーで、経営者だったと思う。そのDNAを持つパナソニックに期待している。  例えば、こんな時代だからこそ、もっと大きな夢を持ってほしい。ここにLifeCar(ライフカー)と書いた。世界一の自動車会社になる。そういう大きな夢が必要ではないか。世界一が全部をとって食う時代だ。その前に世界に通用するパナソニックを代表する製品を作らないといけない。  従来の自動車ではなく、世界の人々の生活を変える。生活を豊かにし、便利にする。自動車メーカーはモビリティーのことしか言ってないが、モビリティーの問題じゃないんじゃないかと思う。ガソリン車の将来は不透明だ。EVも将来何がデファクトスタンダードになるかわからない。 その中で、LifeCarは性別や国籍、年齢、職業を超えたあらゆる人のための車。高機能で良いデザイン。これをあらゆる人が買えるようにする。高品質な、生活のための道具。これを大量にリーズナブルな価格で、圧倒的なスピードで世界に供給する。誰でもいつでもどこでも高品質な車を使えるようにする。これが車の民主主義だ。  私は幸之助さんと同時に、アップルのスティーブ・ジョブズさんを尊敬している。彼は世界の人の生活を変えた。今のiPhoneのようなものを創ってもらいたい。アイコニックな製品がない限り、完成された商品と店舗、マーケティングがない限り、いかに良い事をやっても世界中のお客様は買ってくれない。  もう一つLifeHome(ライフホーム)。10年後に今の延長線上ではない、世界一の住宅メーカーになる。世界中の誰もがどこでも高品質な住宅を安心して使えるようにする。これが住まいの民主主義だ。  例えば、スマートフォンで注文すると、世界中のどこでも大型ドローンで配達して、1日で組み立てられる。必要な家電や情報機器が全て入っている。屋根にはソーラーパネルがあって、すぐに住める。もちろんクローゼットにはユニクロの服。  30万円のライフカーを世界で10億台、300万円のライフホームを10億軒売れば、売上高は33兆円。経常利益はたぶん5兆円くらいになる。 それくらい大きく考えてやってもらったらいいんじゃないか。全く新しい概念の製品を生み出し、世界中の人の生活を変えて、よりよい社会をつくってほしい。そのようなパナソニックになってほしい。  いまデータがオイルに変わると考えている人がいるが、私はそうでないと思う。データにはオイル以外も入っている。オイルは精製しないと使えないのと同じで、これをもう一度、人間の発想力で組み替えないといけない。  情報産業企業が世界を征服する、Aが先頭につく会社が世界を征服する、と考える人がいる。それはあり得ない。お客様にとって便利で、メリットがある、最も良い企業が世界一になる。  Change or Die。これからの3年はそのように変わる。全く新しい次元の競争が始まっている。自分から変わらなければならない。受け身は衰退する。停滞は死を意味する。  これからの200年、300年、パナソニックもファーストリテイリングも世界中の人に愛され、尊敬の的になり続けられるように、ぜひ一緒に大きな夢に向かって前進しよう。 ニュースイッチ2018年11月03日公開

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