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五輪関連で未回収。LEDビジョンのトップ企業、倒産の真実

赤見電機、不適切会計で支援得られず
 

繁華街や競技場などで人々の視線を惹きつける大型発光ダイオード(LED)ビジョン。全国各地に100個ほど存在するとされているが、その内の多くで赤見電機製のLEDディスプレーが採用されている。

 

1951年3月に創業した赤見電機は「LISA(ライザ)」のブランド名で、LED方式の映像システムの製造販売を手がけていた。国産にこだわった製品は日中の太陽下でも高輝度・高画質な表示。駅やビルの壁面、スポーツ施設で採用され、ヨドバシカメラ梅田店の「YODOBASHI VISION」や「JR博多シティビジョン」にも携わっていた。

 

納入台数・面積ともに国内トップシェアで、海外にも展開。94年9月には中国上海市に当時世界最大級のLED表示装置を納入した。99年2月期には年売上高約22億9300万円を計上していた。

 

しかし、リーマン・ショックによる世界景気の低迷で国内外からの受注減に加え、2010年頃から安価な中国製品が世界のLED市場を席巻したことで売り上げは減少傾向をたどり価格競争にも敗れ、次第に赤字も散発。18年2月期の年売上高は約5億1800万円にまで落ち込んでいた

 

さらに過去に受注した北京オリンピック関連の中国向け大口受注で数億円単位の未回収が発生。資金繰りが悪化したうえ、今年2月に前代表が死去したことで代表交代も余儀なくされ、経営は混乱状態に陥っていた。

 

加えて長年経理部門を担い、金融機関との交渉窓口であった財務担当者が4月に退職し、財務内容および取引先との契約関係の再精査を強いられていた。

 

近時は東京五輪・パラリンピック関連の受注が増加傾向にあったが、根本改善に至らず、5月には金融機関へリスケを要請。しかし、要請直後に前財務担当者が売り上げの架空計上などの不適切な会計処理を行っていたことが発覚し、関係者からの支援も得られなくなり、9月2日に自己破産を申し立てることとなった。


(文=帝国データバンク情報部)

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