売るものがない…日産に重くのしかかる“クルマ高齢化”

新モデル投入効果は早くても20年後半から

ゴーン氏の拡大路線の歪みが

 日産自動車が販売不振にあえぐ。2019年度の世界販売は524万台(前年度比5・0%減)と2年連続のマイナスとなる見込み。自動車業界全体の需要が減少していることに加え、日産の特有の課題として各モデルの発売からの年月を指す「平均車齢」が高い点、商品ラインアップが多すぎる点が挙げられる。日産は対策を進めるが、新モデル投入などの成果が表れるのは早くても20年後半からになる。  日産の小型車「キューブ」、小型スポーツ多目的車(SUV)「ジューク」、セダン「ティアナ」が19年末で生産を止め、日本販売を順次終える。日産幹部は「19年度は一番の底だ」と覚悟の表情で語る。12日、世界販売を期初予想から下方修正し日産と取引するサプライヤー幹部は「さらなる引き下げもあり得る」と警戒する。  不振の理由の一つは商品の魅力に直結する車齢の高さ。業界平均が約4年とされる中、日産車は平均約5年と高齢。また商品ラインアップにも課題がある。「日産は実力値と比較して車種が多すぎる」(日産幹部)ため、経営資源が分散し効果的な顧客開拓が難しくなった。  元凶となったのは、元会長カルロス・ゴーン被告が主導した拡大路線だ。高い数値目標を掲げる「ストレッチ」の大号令の基で、10年代に入り成長余力が大きいとみられた新興国向け投資を優先し、日本など先進国向けの商品開発が手薄になった。また戦略的に車種を絞り込んで売り切るという視点も欠如し、ラインアップ再編という痛みを伴う改革は見送られた。  ゴーン被告の退場後、日産は商品・販売戦略の立て直しに乗り出した。7月に示した計画では、22年度までに車種を10%以上削減する「守り」と、全中核モデルを刷新し20以上の新型車を投入する「攻め」の戦略を示した。車齢は3年半まで引き下げる。  車種の絞り込みは日本向けのほか、米国のSUV、新興国向け専用ブランド「ダットサン」まで聖域なく検討を進める。新型車展開では、電動化や運転支援技術を搭載した先進モデルの投入を加速する方針で、例えば「日本で発売する新型車は基本的に電動車になる」(同)。具体的には小型SUV「キックス」、小型車「ノート」、中型SUV「エクストレイル」、4輪駆動の電気自動車(EV)、軽EVなどの新規投入・全面改良が控える。  ゴーン体制下で米国においては、商品力低下をインセンティブ(販売奨励金)で補う値引き戦略で、販売拡大を目指した結果、収益性が低下した。19年度からはインセンティブ抑制などコスト管理を徹底し、12日の中間決算会見で「成果が出てきた」とスティーブン・マー常務執行役員は説明した。今後、米国での新モデル投入は、安売り戦略で低下したブランド力の回復という役割も担う。ただ“1軍”の主力車種が出そろうのは20年後半からで国内外で本格的な反転攻勢はそれ以降になる。  日産幹部は「今は無理して売らないという我慢を続けるしかない。そして来年度以降の新車をうまく売る。これに尽きる」と強調する。恒例の「今年の漢字」が12月に発表されるが、19年度の日産の商品・販売戦略を漢字で表すなら、「忍」がふさわしいだろう。

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