台風被害を研究・教育に生かす東京都市大のタフさ

学生が学内外を調査

学内外の浸水被害を学生が調査(東京都市大提供)

 東京都市大学の世田谷キャンパス(東京都世田谷区)は、10月の台風19号で地下の受電施設や図書館などが被災したが、復旧が迅速に進み2週間で授業を再開できた。今後のキャンパスの防災対策では学内のシミュレーションを活用するほか、工学部都市工学科の学生約100人がキャンパス近隣の被害の実態調査を行い、世田谷区も関心を示すなど、水害の教訓を研究・教育に生かす取り組みを進めている。(取材=編集委員・山本佳世子)  工学部などがある世田谷キャンパスは、敷地中央を通る公道の標高が低く、そこから計約3万トンもの雨水が学内に流れ込んだ。大半の施設が浸水し、受電設備など地下の被害が大きかった。しかし教職員による机などの汚れ落とし・消毒などを経て2週間後、他キャンパスへの機能移転なしに授業再開した。  被害は図書館が大きかった。貸し出しの少ない書籍は地下に集め、採光や搬入のため建物周囲を掘り下げたドライエリアに広い外階段を設置していたが、ここに雨水が流入した。  深さ8メートル分の水圧でガラス扉が砕け、流水が書棚をなぎ倒すなどで8万冊強が水没した。だが、同キャンパス全29万冊のうち地上階で難を逃れた分は、別の窓口で貸し出しを再開した。  土木が専門の三木千寿学長は「過去最大雨量ではない中での被害だけに、再発の可能性がある」と判断。地下鉄入り口で使われる止水板や、玄関口の段差設定の検討を指示。止水板の高さなどは、都市工学科の教員がシミュレーションする計画だ。  今回の台風では下水から水があふれ、多摩川水系の谷沢(やざわ)川と、同大から離れた地点の丸子(まるこ)川も氾濫するなど被害要因が複雑だった。  そのため都市工学科の3年生約100人が事例研究の授業として実態調査を実施。防犯カメラ映像や河川の水位変化などのデータ、近隣住民の聞き取りや浸水深の痕跡を調査した。速報結果を見た世田谷区からは、防災強化の活動で連携したいという話も来ている。  ただ、教育活動の再開と全学共有施設の復旧を優先する結果、水没した研究機器などの対応はこれからだ。被害総額はまだ算出できないという。 <関連記事>

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