料理評論家の服部幸應氏が取り組む食育×SDGs

料理評論家の服部幸應氏(服部栄養専門学校校長)は、ライフワークである「食育」の普及と一体となった持続可能な開発目標(SDGs)を推進する。食育とは健全な食生活を送り、食べ物の大切さを学び、食事マナーから社会性を身につける教育だ。食育とSDGsを掛け合わせるとどんな“料理”になるのか。自身の行動への反省も込めて活動する服部先生に聞いた。 ―SDGsのような地球規模課題を意識する理由は。 「私が小学生のころ、都内にも沼があって友人と水遊びをした。9歳のある日、水面に虹色の輪ができて生き物が浮いていた。大人が捨てたガソリンか重油のせいだった。こんなことが許されるなら『地球がどうにかなる』と怒りを感じた」 ―環境破壊の目撃が原点ですね。 「あの時、環境問題のために何かしたいと考えた。今も持続可能性は大事と分かってはいても、便利さを犠牲にしてまで行動を起こせていない。私はみんなに食育に取り組んでほしいと訴えている。それなのに私自身が、あの沼で感じた思いを実践できずにいる」 ―食育とSDGsの関係は。 「首相だった小泉純一郎さんのアイデアで農林水産、厚生労働、文部科学の3省の担当と食育について話し合った。生物多様性、持続可能性、環境保全性の方向性が出て、2005年の食育基本法施行につながった。三つの方向性はSDGsと重なり、食育の推進が17ゴールと結びつく」 ―なぜ食育が大切なのでしょうか。 「核家族化でおばあちゃんからしつけされる子どもが減った。食事中に家族がそろわないので、家庭内の会話も減った。家庭教育が崩れ、子どもが道徳を身につける機会も失われた。食育で道徳教育を補いたい。だが、食育に賛成する方は多くても、すぐに行動するわけではない」 「例えば食料自給率が減り続けていると認識しながら、見過ごしてきた。他にもガタガタと社会の足元が崩れているのに、我々には危機意識が足りない。SDGsを理解していても、具体的に動く人は少ない。一緒に取り組む人たちを増やさないといけない。国も意識を高めてほしい」 ―服部先生のSDGsの取り組みは。 「私は今、農水省の食育推進会議の委員と専門委員会の座長をしている。21年度からの第4次食育推進基本計画ではSDGsを組み入れていきたい。SDGsの考え方に加え、図柄も参考にしていきたい。SDGsはすばらしい。絵文字を使って何をすべきか表現しており、覚えやすい」

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