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簡易なハイブリッドシステムで、“ドイツの巨人”が日本を攻める

ボッシュとコンチネンタル、軽自動車にも採用
簡易なハイブリッドシステムで、“ドイツの巨人”が日本を攻める

採用を増やしている独ボッシュのマイルドHVシステム

独ボッシュや同コンチネンタルが電圧48ボルトで駆動するマイルドハイブリッド車(HV)用システムで攻勢をかける。ボッシュは同システムで日本の自動車メーカーとの取引を増やしたほか、コンチも日本メーカーが海外で発売するモデルに納入する計画。両社とも2020年から市場投入される新車に搭載される見込み。「ストロング型」のHVシステムに注力してきた日本メーカーで広がる、マイルドHVシステムの需要に対応する。

 ボッシュが日本メーカーとの取引を増やしたマイルドHVシステムは、スターターやオルタネーター、直流(DC)/DCコンバーター、リチウムイオン電池などをそろえた部品。燃費は従来のガソリン車と比較し、15%程度改善できるなどの特徴を持つ。すでに独ダイムラーの高級ブランド「メルセデス・ベンツ」や中国メーカーなどの複数の車に採用された。担当者によれば「日本では主力車への採用のほか、軽自動車でも引き合いが出てきた」という。

 コンチもマイルドHVシステムが日本メーカーに採用される見通しだ。同社のパワートレーン(駆動装置)部門「ヴィテスコ・テクノロジーズ」の担当者は「普及価格帯の車やピックアップトラックの電動化を図る際に導入障壁が低く、同システムのメリットを感じてもらっている」と話す。高級車などは電気自動車(EV)化した場合でも利益を確保できるが、大衆車やトルクが必要なピックアップの電動化はコスト増を吸収しにくいという。

 さらにコンチは同システムの改良に向けて、HV並の出力、30キロワットに対応する48ボルトモーターの開発に着手している。量産は3―4年後を目指しており、マイルドHVシステムはHVの性能に近づきつつある。

 マイルドHVは簡易型HVで48ボルトで駆動する小型モーターを走行時のアシストに使い、減速時は回生ブレーキで発電する。エンジンと大型のモーターの両方を使う「ストロング型」のHVと比較すると、構造がシンプルで導入しやすい。比較的低コストで燃費を改善できることから中国や欧州などで普及する見通しだ。EVの普及を優先してきた中国政府が7月にHVも優遇する方針を示したことも背景にある。世界的に環境規制が厳格化される中で、自動車メーカーは全方位の電動化を求められており、マイルドHVが有効な選択肢になりつつある。

出典:日刊工業新聞2019年11月21日

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