業界は苦戦だが…なぜ成城石井は業績を伸ばしているのか?

生鮮3品にこだわらず極狭出店

現在、40坪の出店が増えている

人口減少やネット通販の台頭で、多くのスーパーマーケット(SM)が販売不振にあえいでいる。数十店規模の店舗閉鎖や譲渡を検討するSMもある。業界が苦戦する中、業績を伸ばしているのが成城石井だ。SMが基本とする生鮮3品にこだわらず、わずか1カ所のセントラルキッチンで作り出す総菜などが人気だ。競合が出られない極狭の場所に注力するといった独自戦略で支持を集めている。(取材=編集委員・丸山美和) 業界ではイトーヨーカドー(約158店)が10月、全国33店舗で他社との連携を探り、困難なら閉鎖すると発表。業界最大手であるイオンのSM事業も、19年3―8月期の営業利益は前年同期比74・7%減の28億1500万円だった。一方、成城石井(約154店)の2019年3―8月期の営業利益は前年同期比17・2%増の42億円。17年に行った決算期変更で単純比較はできないが、2年続けて営業増益と堅調だ。 同社の業績をけん引する一つは総菜だ。セントラルキッチン(東京都町田市)で開発、製造する。一流料理店出身のシェフらが、一般家庭では食べられないようなレシピを作成。保存料や合成甘味料なども使わないエスニック系総菜など常に300品目以上あり、購買動向を分析して素早く改廃する。 一極集中のため開発スピードも速く、各店舗の厨房(ちゅうぼう)で作る人の確保も不要でコストを抑制できる。「通常、店舗売上高に占める総菜比率は他社なら10%程度だが、当社は20%を超えている」(五十嵐隆執行役員)という。店内厨房製の惣菜は、出来たて・あたたかさで優位だが、「出来たても持って帰る間に冷める。当社は持ち帰って電子レンジで温めて1番おいしくなるよう研究している」(同)。セントラルキッチンからの配送距離の問題などでおいしさを担保できない店には、総菜も置いていない。 駅ナカなど極狭な場所に出店できるのも強みだ。130平方メートル(約40坪)や190平方メートル(約60坪)など、SMらしからぬ狭い場所に店舗が作れる。陳列できる広さや需要が少ないと判断した店舗では、肉、魚、野菜の生鮮3品を扱っておらず、3品がそろわない店は総店舗数の半数にのぼる。40坪店舗の平均日販は80万円と高く、鉄道会社などからの出店要請が相次ぐ。 このほか利益率の高い卸売りも手がけている。同業のSMや書店など800店舗に卸している。オリジナル商品を含めた菓子やワイン、ハムなど「成城石井コーナー」を設けて販売する店もある。 いろいろな業態から出店要請が寄せられるが、「年間で出店できるのは13―15店程度。拙速に増やすつもりはない」(同)と説明する。店を取り仕切る店長が、簡単には育成できないからだ。「当社は高級スーパーではない。高品質の商品を買いやすい値段で提供する」(同)としており、そのためにも坪あたりの効率をさらに高めていく計画だ。

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