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大雨で発生の恐れも…帰宅困難者対策、ほぼ進展なし―東商アンケート

10%余分の備蓄 2割未満
 東京商工会議所が実施した「会員企業の防災対策に関するアンケート」調査によると、1年前の調査と比べて帰宅困難者対策や事業継続計画(BCP)策定に関する取り組みはほとんど進展していなかった。推進対策の一つとして外部帰宅困難者受け入れのための「災害時の損害賠償責任が事業者に及ばない制度の創設」については有効と考えている企業が多い。

 東京都の帰宅困難者対策条例の認知度は66・4%で、前回調査と比べて4・4%向上した。だが、認知度は従業員規模による差が大きく、300人以上では87・8%だったが、企業数として多い10―29人規模では47・2%にとどまった。

 条例の努力義務である「全従業員分の3日分の備蓄」を行っている企業は約半数で、前回と状況は変わらず、「外部帰宅困難者向けの10%余分の備蓄」をしている企業は2割にとどかない。

 都では民間の一時滞在施設を募集しているが、協力のため区と協定を結んでいる企業は1・6%。「共用のフロアに受け入れの可能性がある」企業は4・6%、「一時的に受け入れの可能性がある」企業は20・7%。「難しい」が72・7%だ。

 「難しい」から「フロアに可能性」までの企業は困難な理由を「スペースがない」(50・4%)、「外部者用の備蓄がない」(26・3%)ことなどをあげた。

 「災害時の損害賠償責任が事業者に及ばない制度の創設」の有効性については、受け入れ外部者の施設内負傷の恐れから「大変有効」が43・2%、「有効」が51・3%と合計94・5%もの高い比率となった。
日刊工業新聞2015年09月10日 モノづくり基盤・成長企業面
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
震災だけでなく、昨日おとといの大雨のような災害でも帰宅困難者が発生する恐れがあります。今一度自社の対策を見直してみては。

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