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地場産業のかけはしに!大分大学が医工連携の体制を強化

医療機器産業の集積を推進する狙い
地場産業のかけはしに!大分大学が医工連携の体制を強化

臨床医工学センターがある大分大学医学部挟間キャンパス

 大分大学は医療・福祉機器の開発で、医療機器メーカーや地元企業との連携を強化する。医学部の寄付講座「臨床医工学講座」を改組して、4月に医学部付属施設として「臨床医工学センター」を新設。2015年度中に産学連携活動の支援機能を担うリエゾンオフィスや、医学部にある機器を一部移設したリエゾンラボを整備し、共同研究・開発環境を一段と充実させる。
 
 臨床医工学センターは、大分・宮崎両県の産学官で医療機器産業の集積を加速させる「東九州メディカルバレー構想」の推進役を担う。大分大では、臨床医工学講座を中心に川澄化学工業、旭化成メディカル(東京都千代田区)と血液・血管内医療機器などの研究開発に取り組んでいる。このほか地場企業のデンケン(大分県由布市)とは抗炎症光療法の実用化を目指している。

 近年は医療機器にとどまらず、福祉機器分野に地元企業が参入するケースが増えている。大分大はこうしたニーズをとらえ、学内の全学研究推進機構の重点研究推進分野に医工連携推進領域を新設。医工両学部の連携を強化し、福祉機器開発も支援する学内体制を整えた。医療・福祉関連産業への参入を目指す地場企業などとのかけはし役として臨床医工学センターに対する期待が一層高まっている。
日刊工業新聞2015年04月08日 科学技術・大学面
三苫能徳
三苫能徳 Mitoma Takanori 西部支社 記者
成長分野である医療機器分野への参入を狙う中小製造業者は多い。だが参入障壁は高い。その要因の一つが「手術器具は分解洗浄できなければいけない」といった、医療現場の特殊ニーズを把握できていないこと。地方での医工連携の推進にとって、地元の大学医学部・医大の役割は大きいです。

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