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避難所は「眠りにくい」、研究で実証

災害時に避難所として使われる体育館では、冬場に睡眠効率が1割以上低下し、「眠りにくい」ことが豊橋技術科学大学の都築和代教授らの研究で分かった。肩や腰などの疲労にもつながっており、都築教授は「配布される寝具だけでは不足し、十分な防寒が必要」と指摘している。

研究グループは1―3月の期間に、冷暖房のない大学の体育館を避難所に見立て、寝具の条件を変えて睡眠時の身体データを収集。就寝から起床までの7時間のうち、身体が動いた覚醒時間を引いた睡眠時間を比較した。

自宅で眠った場合は約400分だったのに対し、体育館で布団を使うと約368分、災害救助用毛布4枚では約348分だった。「睡眠効率」はそれぞれ98・3%、91・2%、86・4%となり、最大で10ポイント以上低かった。

また、体育館で毛布を使って眠った場合、自宅と比べて足の温度も最大で10度Cほど低下していた。都築教授は「避難所に十分な寝具があるとは限らない。ゆったりした靴下で末梢(まっしょう)部を保温したり、着る服を増やして断熱効果を上げたりするなどの対策を取るのが望ましい」と話している。

日刊工業新聞2019年11月7日

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