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航空機の運航管理が変わる!?「太陽放射線」被ばく量推定システムとは

情通機構など、高度100キロメートルまで即時検出

情報通信研究機構や日本原子力研究開発機構などの研究グループは、太陽表面で発生する爆発現象である「太陽フレア」の発生時に地球に飛来する「太陽放射線」の被ばく線量を推定するシステムを開発した。太陽放射線をリアルタイムに検出。地上から高度100キロメートルまでの放射線被ばく量の分布を推定できた。航空機の乗務員の被ばく線量を観測するなど、航空機の運航管理への利用が期待される。

情通機構は国際民間航空機関(ICAO)グローバル宇宙天気センターに認証されている。研究グループは、ICAOへの太陽放射線による被ばく線量の情報提供を目指し、太陽放射線被ばく警報システム「WASAVIES(ワサビーズ)」を開発。7日に情報提供を始めた。ワサビーズで放射線量の増加が確認された場合、グローバル宇宙天気センターを介して航空会社に情報が提供される。

太陽活動による太陽放射線からの地球での被ばく線量が増加している。太陽放射線は年1回程度発生する大規模な太陽フレアに伴い突発的に増加し、数時間で減少する。現在は太陽フレアの発生予測が困難であるため、被ばく線量のリアルタイム推定は難しかった。

開発したシステムは、地上での太陽放射線量の増加を検出した後、人工衛星の観測データで被ばく線量を評価。地表から高度100キロメートルまでを高い精度で被ばく線量を推定できるようになった。

情通機構と原子力機構のほか国立極地研究所、広島大学、茨城工業高等専門学校、名古屋大学が開発に参画した。

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