石油元売り、カーシェア新サービス相次ぎ仕掛ける理由

小型EV・AIで需要予測

出光興産は岐阜県で2人乗りEVを活用した実証に取り組む

石油元売り大手がカーシェアリングの新サービスの実証を相次いで始めた。デリバリー型や電気自動車(EV)など従来ない取り組みだ。石油需要が長期的に減少する中、MaaS(乗り物のサービス化)時代の到来を見据える。実証からビジネスに発展させ、石油需要減を補う存在に育てることを狙う。(取材・戸村智幸)  「レンタカーとタクシーの中間のようなサービス」―。JXTGエネルギーの担当者は、広島市中心部でモニター企業向けに始めたデリバリー型サービスを表現する。  通常のカーシェアは車を取りに駐車場まで行く必要があるが、このサービスでは利用者がスマートフォンで時間と場所を予約すると、スタッフが運んでくれる。車を降りる場所を伝えておき、そこで別のスタッフが回収するため、好きな場所で乗り降りできる。  人工知能(AI)の活用も特徴だ。利用者と車の位置を分析し、スタッフは需要が見込めるエリアに待機させ、利用者の待ち時間を減らす。  2020年度には有償サービスを始めることを目指す。車両は現在の3台から、同年度中に100台まで増やす計画だ。  出光興産は岐阜県の高山市と飛騨市で、2人乗りの小型EVのカーシェア実証を始めた。タジマモーターコーポレーション(東京都中野区)の2人乗りEVを企業や市民、観光客の足として提供。系列給油所を運営する飛騨市の牛丸石油が車両を貸し出す。  2人乗りEVは小回りが利き、高齢者でも運転しやすい。15分につき350円と手軽に利用できる。通常のコンセントで充電できるのも利点だ。高山市で5台、飛騨市で2台運用している。  出光は2市以外でも実証する計画で、関東地方の自治体と交渉中だ。将来的には、給油所でEVのメンテナンスを提供する構想で、今回はメンテノウハウを蓄積する狙いがある。福地竹虎経営企画部部長付は「充電系のトラブルがあったが、これらが経験になる」と手応えを見せる。  コスモエネルギーホールディングスは11年にカーリースをはじめ、6月末時点で累計約6万3000台の契約を獲得するなど、サービス型で実績がある。カーシェアでは、ホームネットカーズ(東京都新宿区)と組み、スマホで車両を施錠・解錠するシステムでの実証を始めた。  米ウーバーが配車サービスを展開するなど、世界では新興ITがMaaSをけん引する。日本にもその波が押し寄せれば、彼らに主導権を握られかねない。そうなる前に、石油元売りは自ら新サービスを開発・展開し、顧客基盤を築くことが求められる。

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