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学習塾、保護者との対話はスマホアプリで

POPER 業務効率化支援
学習塾、保護者との対話はスマホアプリで

塾からの連絡がプッシュ通知で確実に届く

 POPER(ポパー、東京都千代田区、栗原慎吾社長、03・6265・0951)は、SaaS(サービスとしてのソフトウエア)型の学習塾向け業務効率化支援システム「Comiru(コミル)」を手がける。2016年3月のサービス開始から約3年半で約500社、約1700教室が採用した。学習塾向け業務支援ツールとしては業界シェア1位を誇る。

 栗原社長は同社設立前に学習塾の経営に参画していた。講師も務め、生徒約60人分の授業内容を記した指導報告書を作成する業務に毎月追われていた。労力をかけて作った指導報告書などは保護者にメールで送るか、印刷して生徒に渡していたが、「保護者が本当に読んでいるかどうかが分からない」(栗原社長)状態だった。

 近年、学習塾は受験対策以上に学校の授業を補う役割を担っている。それだけに子どもが塾でしっかり学んでいるかを気にする保護者が増え、塾との対話が重視されるようになった。一方で、対話のツールとしての指導報告書を講師が手書きで作成する旧来型の業務が課題となっていた。そこで栗原社長は15年1月に同社を設立。学習塾の課題解決のためのアプリケーション(応用ソフト)としてコミルを開発した。

 コミルは手間のかかる指導報告書をスマートフォンからでも簡単に作成できる。作成件数は累計で約250万件を数える。報告書の作成以外にも保護者連絡や入退室、請求書作成などの機能も持つ。塾からの連絡が保護者のスマホにプッシュ通知で確実に届く。18年夏には対話アプリ「LINE」との連携を開始し、塾の連絡をLINEでも受け取れるようになった。

 塾経営の改善効果も出ている。京都府内の大手進学塾はコミルの導入で約2000万円のコスト削減を実現できた。今後は英会話教室や音楽教室、学童保育、予備校にもコミル採用を促す方針だ。栗原社長は「将来は塾経営に役立ててもらえるユーザーのコミュニティーサイトを作りたい」と意気込んでいる。(取材・渡部敦)
日刊工業新聞2019年10月25日

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