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大化けするか? 音声アシスタントに対応し、ゲーム機にもなる新型Apple TV

家庭内IoTでも活躍、リビングルーム攻略へ
大化けするか? 音声アシスタントに対応し、ゲーム機にもなる新型Apple TV

現行のApple TVとそのテレビ画面

 「ねえSiri(シリ)、ヒントをくれない。(Hey Siri, give us a hint.)」。サンフランシスコで現地時間9月9日午前10時から開かれるアップルのイベントでは、新型iPhoneとともに、セットトップボックスの新型Apple TVの発表が期待されている。バズフィードによれば冒頭の招待状がほのめかすように、Apple TVが音声アシスタントのSiriに対応。さらにユニバーサルサーチ機能で、作品や俳優、監督の名前などから映画やテレビ番組を音声で直感的に検索できるようになるという。

 一方、ニューヨークタイムズ紙は、テレビゲーム機としての機能が強化されると報道。高機能のグラフィックスチップに加え、モーションセンサー付きでゲームコントローラーにもなるリモコンが付属し、Apple TV向けのゲームアプリストアも開設されるという。その分、値段は高くなり、現行モデルの69ドル(発売時は99ドル)から150ドルほどになるとみられている。

 ここで、9日の発表と直接の関係はないが、iOS9対応の新型Apple TVをモチーフにしたテレビ画面のデザインコンセプトがあまりに美しいので紹介したい(下記のリンク参照)。デザイナー兼起業家のアンドリュー・アンブロシーノ氏によるもので、テレビの縁の部分(ベゼル)が非常に細いデザイン性に富んだ大型テレビをもとに、「ホームスクリーン」のような用途を想定している。

 通常のテレビ放送/ネット動画はもちろん、時計とともに表示される風景などのバックグラウンド映像、サーチボタンでSiriを呼び出してユニバーサルサーチを使う場面、画面の中の小さいウィンドウにコンテンツを表示する「ピクチャー・イン・ピクチャー」機能など、そのデザインコンセプトは思わず息を飲むほど美しく、魅力的だ。

 アップルは薄型テレビへの参入を断念したとされる。とはいえ、実はテレビメーカーの軒先を借りながら、このデザインコンセプトが示すように、Apple TVを切り口にしてテレビのあり方を変えていく戦略なのかもしれない。
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藤元正
藤元正 Fujimoto Tadashi
スティーブ・ジョブズの公認伝記によれば彼は生前、「テレビに革命を起こす方法がわかった」と述べ、テレビ製造に乗り出す考えを持っていたとされる。とはいえ、今年5月には「アップルは1年以上前にテレビ開発プロジェクトを断念していた」とWSJが報道。薄型テレビよりはむしろ、かつてジョブズが「ホビー」と切って捨てたApple TVでのリビングルーム攻略に舵を切ったように見える。セットトップボックスにゲーム機器、さらに「ホームキット」アプリを使った家庭内IoT向け制御機器としての使い道も含め、Apple TVは案外大化けする可能性を秘めているのではないだろうか。

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