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掃除が大変な「緑色になった学校のプール」、入れるだけで解決する洗剤

掃除が大変な「緑色になった学校のプール」、入れるだけで解決する洗剤

浄化剤の散布前(左)と後。藻を沈殿させ繁茂を防ぐ

 宇部マテリアルズ(山口県宇部市、市川正隆社長、0836・31・0156)は、水生昆虫などを守りながらプールのぬめりを防ぐ洗浄促進剤「マグクリーンSP」を拡販する。2019年度中に採用学校数を現在の25%増の約1500校に引き上げる。足元で清掃の負担軽減やプール延命を目的に引き合いが増えている。環境負荷の低さを含めて周知を広げ、さらなる販売拡大を狙う。

 洗浄促進剤の主成分は水酸化マグネシウムで、プールに散布することで水を弱アルカリ性にして悪臭の原因となる菌の繁殖を防ぐ。また同成分は藻を沈殿させ、さらに藻の栄養素であるリンもリン酸マグネシウムにして沈殿させることで、藻の成長を阻害する。藻類が増えないため、ヌメリの原因となる多糖類の形成も抑えられる。「強烈な作用はない成分」(同社担当者)のため、水生昆虫のヤゴやタガメは生息できる。

 学校のプールは防災対策のため冬場も水をためているが、プール開き前の清掃は教職員やPTAにとって数日間かかる重労働だった。しかも硬いブラシを使って清掃するとプールの塗装がはがれ、修繕コストがかかる問題があった。

 オフシーズンのプールにマグクリーンを入れておけば、プール開き前に水を抜いて水切りで少量の水をかいて排水溝へ流すだけで清掃が終わる。清掃時の水も大幅に減らせる。一般的な25メートルの長さのプールで20キログラムを散布する。オープン価格で、20キログラム当たり3万5000円前後(消費税抜き、送料込み)。

 宇部マテリアルズは環境対応での水酸化マグネシウムの用途拡大を進めている。

 すでに公園の池や河川、地下鉄の貯留槽で、悪臭防止や藻の繁殖防止に使われている。環境負荷の低減の点でも利用が広がりそうだ。
日刊工業新聞2019年10月18日

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