曲がり角の展示会ビジネス、シーテックに見る試行錯誤

「我々は間違っても『復活』という言葉は使いたくない」

シーテックは電機・ITの垣根を越えて“産業総合展示会”に

 18日まで開催している国内最大の電機・情報技術、IoT(モノのインターネット)の総合展示会「CEATEC(シーテック)2019」。今後の展開について、CEATEC実施協議会の鹿野清エグゼクティブ・プロデューサーに聞いた。  ―今年のシーテックの位置付けは。  「良くも悪くも20回目という節目の年。2000年に始まり、IT・エレクトロニクス産業と連携してずっと走ってきた。だがそれでは難しい局面が来て、16年に思い切って(脱・家電見本市へ)方針を変えた。単に20回目を祝うのではなく、我々が掲げた方向性を再認識し、次の2030年の社会へ向けた新しいスタートだ」  ―産業の変遷を如実に映し出す鏡になっています。  「大手家電メーカーの出展内容が大きく変わり、昔のように年末商戦に向けた液晶テレビの新製品を並べている会社はいない。これからのビジネス拡大に利活用してほしい技術やサービス、ソリューションを提供する場になっている。また、ここ数年で一番変化を感じたのは電子デバイスメーカーの展示内容だ。以前は出展する家電メーカーに採用してもらいたい部品を並べていたが、今は部品を使って自らアプリケーションを開発しソリューションまで仕上げて展示している」  ―出展社数や来場者数も回復傾向にあり、シーテック復活と言っていいのでしょうか。  「我々は間違っても『復活』という言葉は使いたくない。違う新しい世界へ踏み込んだという認識だ。現在の出展企業はかつての商談の場というよりも、ブランディング・マーケティングの目的意識が強い。一方でそれはシーテックの弱みでもあって、企業なのでみな投資対効果を考える。ブランディングの観点が入ると評価はより厳しくなる。それを真摯(しんし)に受け止めて、各社にメリットがある展示会にしないと長続きはしない」  ―仮想現実(VR)技術などの普及で展示会ビジネス自体も地殻変動が起きそうです。  「VRなどを活用する方向性はあるだろうが、実際に来場して体験するのとは全く違う世界だ。それが置き換わって、展示会場に来なくて済む未来をすぐには想定できない。ただ、展示会場だけで開催せず、街中を会場にしてしまう展示会が世界のトレンドになりつつあるのは確かだ」 【記者の目】  リーマン・ショック後の最悪期は脱したシーテック。長年支えてきた総合電機メーカーが「総合」の看板を次々に下ろした流れとは逆に、電機・ITの垣根を越えて“産業総合展示会”へ生まれ変わりつつある。一方で、投資対効果が見えづらく、パナソニックのように敬遠する向きもある。誰もがメリットを実感できる展示会へ試行錯誤が続く。 (編集委員・鈴木岳志)

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